報告:田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト交流会in登米
ラムネットJ 水田部会 安藤よしの
2013年8月24日(土)宮城県登米市において第1回田んぼ10年プロジェクト交流会を登米市との共催で開催しました。地元以外の参加者はくりこま高原駅から登米市のバスに乗り、まず登米市南方町で南方町水稲部会長の大久保芳彦さんの案内のもとに、同部会メンバーの菅原秀雄さんのJAS有機栽培圃場を見学、関係者の方々から熱心な説明を受けました。真夏の昼間ということもあり、魚の姿を見ることはできませんでしたが、魚道も設置され、豊かな生きものたちの暮らしがあることをうかがわせる有機栽培の田んぼでした。近くには(株)アレフ(びっくりドンキー)の契約圃場もあり、目印の旗が立っていました。
JAみやぎ登米南方町水稲部会の圃場(南方町南野谷地地内のふゆみずたんぼ)
大久保芳彦さんの圃場。魚道も設置されている。
水田視察を終え、バスで登米市南方農村環境改善センターへ移動し、集会に参加しました。
この集会は二部構成で、第一部は登米市の主催の「第5回 人と野生動植物の共生を考えるつどい──田んぼの生物多様性について考える」で、布施登米市長、みやぎ登米農業協同組合の榊原組合長などの歓迎のあいさつの後、水野玲子さん(NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議理事)が、ネオニコチノイド系の農薬の危険性や現状について、稲葉光國さん(NPO法人民間稲作研究所代表)が、田んぼの生き物を豊かにする稲作技術についてそれぞれ報告しました。
水野玲子さん(NPO法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議理事)
稲葉光國さん(NPO法人民間稲作研究所代表)
第二部はラムネットJ主催の「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト交流会in登米」で、、「田んぼ10年プロジェクト」が生まれた経緯、にじゅうまるプロジェクトと田んぼ10年プロジェクト、田んぼ10年プロジェクト行動計画について、それぞれ呉地さん、道家さん、斉藤さんが説明しました。
その後、にじゅうまるプロジェクト登録証がIUCN-Jの道家さんから登米市など9団体に手渡され、これからにじゅうまるメンバーとして、愛知ターゲットの達成のためにともにがんばっていくことを約束しました。
100人を超える人々が参加
にじゅうまるプロジェクト参加登録証の手渡し
次いで田んぼプロジェクトの登録団体(=にじゅうまるプロジェクト登録団体)による活動事例紹介が行われました。登米市、企業、NPO、農協など、活動主体は多様ですが、さすがにどれも地域に根差した特徴的なすばらしい活動報告でした(詳しくは発表資料をご参照ください)。大変熱のこもった発表が続き、2時間半があっという間に過ぎてしまい、参加者のみなさんとの意見交換の時間が取れなかったことが大変残念でした。
最後の閉会挨拶で、NPO田んぼの理事長で、田んぼ10年プロジェクト事務局の岩渕成紀さんは、「国連生物多様性の10年の最終年2020年を超えて、2050年(愛知ターゲット長期目標-生き物と共存する社会の実現)までがんばりましょう」と挨拶し、会場から大きな拍手がわきました。
予定参加者数を大きく上回る人々が参加し、登米市側からは来年も共催を検討したいという希望が出されました。
ラムネットJでは、九州での第2回交流会を検討し始めています、今後もこのような地域の皆さん方との交流を通して「田んぼ10年プロジェクト」の輪を広げていきたいと思っています。
★当日のプログラムや発表者の写真、講演要旨、発表スライドなどの資料は、こちらのライブラリーのページでご覧いただけます。
2013年10月13日掲載