第10回 日韓NGO湿地フォーラム報告

ラムネットJ事務局 後藤尚味

 ラムネットJでは2月28日〜3月2日にセマングム北岸のソチョン(舒川)において、第10回日韓NGO湿地フォーラムを韓国湿地NGOネットワークと共同で開催しました。プログラムは4つのセッションとエクスカーションからなり、日韓両国のNGOから約20名が参加しました。

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 第10回の節目の開催に当たり、セッション1では、「フォーラムの過去と未来の課題」と題して、2007年に東京で第1回を開催以後、継続して日韓の各都市で交互に開催してきた過去の活動を振り返り、フォーラムがラムサール条約などの国際会議に向けた戦略会議の場と、日韓の湿地問題の情報共有の場を提供してきたことが確認されました。また、組織運営上の課題として、日韓のNGOが共通して資金不足と若者不足を挙げました。
 セッション2の「メガスポーツと生物多様性」では、過去に日本で開催したオリンピックが残した負の遺産を報告し、グリーンオリンピックへの見直しを提案しました。また韓国からはピョンチャン(平昌)オリンピックによるカリワンサン(加里旺山)開発の問題が発表されました。
 セッション3では、日韓両国の環境問題が発表・共有されました。韓国からは、四大河川開発事業、ネソンチョン(乃城川)のダム建設、カンジョン(江汀)海軍基地、セマングムにある貯水池(백석제)の埋め立てによる病院建設、雪岳山のケーブルカー事業などの問題が報告され、市民参加型の生態観察情報収集の取り組みが発表されました。日本からはリニア新幹線建設、原発事故、辺野古・泡瀬干潟・諫早湾の状況、そして、CBD/COP12参加報告などを発表しました。
 セッション4では、ラムサール条約COP12に向け、最新情報を共有し日韓両国で協力していくことを確認しました。
 最終日のエクスカーションは、セマングムの開発を阻止して設置された国立生態園を訪れました。曲線を駆使した斬新なデザインの建物の中は、熱帯から極圏まで複数の部屋に分かれ、さまざまな気候別に国内外の動植物が飼育・展示されていました。

ラムネットJニュースレターVol.19より転載)

2015年05月29日掲載