緊迫する辺野古・大浦湾
ラムネットJ共同代表 花輪伸一
名護市辺野古の新基地建設現場では、海も陸も緊迫した日々が続いている。
日米合同委員会(注)は、辺野古・大浦湾に広大な「臨時制限区域」(立入禁止区)を設定し(2014年6月)、防衛省はその範囲にフロート(浮具)を設置した(2015年1月)。抗議のために近づく非暴力のカヌーや小型船に対し、大型ゴムボートの海上保安庁官が威圧的、暴力的な排除を行い、カヌーを転覆させ小型船に飛び移って船長やカメラマンを足で押さえつけるなどして、けが人も続出している。また、フロートを固定するために、大型クレーン船により10〜45トンのコンクリートブロックや連結鎖が海底に沈められた。これらがサンゴ類を破壊していることから、沖縄県は調査を行い、岩礁破砕許可範囲外として許可の取り消しを検討している。
沈められた巨大ブロック(写真:ヘリ基地反対協議会)
キャンプ・シュワブ前の抗議行動
一方、米軍キャンプ・シュワブのゲート前では、昼夜におよぶ座り込み抗議行動が行われ、毎日、那覇から貸切バスが運行され多くの県民が参加している。しかし、防衛省は、早朝など人数が少ない時間を狙い、県警機動隊による暴力的排除をくり返し、基地内への資材搬入を強行している。また、米軍ガードマンが抗議行動のリーダーを基地に引きずり込み県警に引き渡して逮捕させたり、沖縄総合事務局北部国道事務所が座り込みテントや看板の撤去を迫るなど、政府を上げての攻撃が強まっている。これに対して県民は、貸切バスの増発、県民集会の開催など、抗議行動を拡大させている。なお、東村高江では、防衛省がヘリパッド建設反対のテントがある県道路側帯を米軍基地に編入し、住民の表現の自由、抗議行動を弾圧するなど、ここでも緊迫感が高まっている。
海上での抗議行動
2014年の選挙(名護市長選、同市議選、県知事選、衆議院選)で、市民、県民は辺野古と高江の基地に反対する議員を当選させ、容認議員を落選させた。新基地建設に反対する県民の意志は明らかであるが、日本政府はまったく聞き入れず、暴力で市民を排除し工事を強行している。これでは民主主義の国と言うことはできない。安倍政権は、沖縄をはじめ原発再稼働、秘密保護法、集団的自衛権など、多数の国民の意志に背を向け暴走を始めている。私たちは、環境とともに、憲法、人権、平和、基地、原発、公共事業など多くの分野で共同して、立ち向かわなければならないと思う。
注:日米地位協定実施のための協議機関で、在日米軍司令部と日本の外交・防衛・法務のエリート官僚により月2回開催される。米国による日本の統治機関との見方もある。
(ラムネットJニュースレターVol.19より転載)
2015年05月29日掲載