泡瀬干潟・浅海域埋め立ては法的に瑕疵がある

ラムネットJ共同代表、第二次泡瀬訴訟原告団長 前川盛治

 翁長知事は、10月13日、前知事が承認した「辺野古埋め立て承認」を取り消した。翁長知事の決断は、知事選挙の公約でもあり、沖縄県民を始め全国民の圧倒的な支持を得ており、当然のことである。私たちは、知事を支え、新基地建設断念まで県民一丸となって安倍内閣と闘わなければならない。
 さて、知事の決断は、第三者委員会の報告、今回発表された「取り消し処分の理由」に基づくものであるが、多くは環境問題との関わりである。泡瀬埋め立てと関連するものをあげてみる。(1)辺野古埋め立て地は、自然環境的観点から極めて貴重な価値を有する地域であって、いったん埋め立てが実施されると現況の自然への回復がほぼ不可能である。また、同地は、「日本の重要湿地500」「絶滅危惧種生息地」「ラムサール条約湿地潜在候補地」であり、公有水面埋立法第4第1項第1号に違反する。(2)同地域は、「現存する干潟・塩性湿地・藻場・サンゴ礁などを含む浅海域」で、最優先に保全されるべきであり、県の「自然環境の保全に関する指針」で評価ランク1に指定されている。法第4第1項第2号の要件を充足していない。
 ところで、翁長知事が「辺野古承認は瑕疵があった」と判断した上記の理由は、ほとんどそのまま泡瀬干潟・浅海域にも当てはまる。泡瀬も辺野古・大浦と同価値であり、埋め立ては回避され保全されるべきところであったが、県は前知事時代から埋め立てを推進しており、翁長知事もそれを再検証なしで引き継いでいる。しかし、辺野古埋め立て承認を取り消すのであれば、泡瀬も同時に見直すべきである。今後、辺野古問題は、国を相手に法廷でも争われることを考慮すると、辺野古はダメで、泡瀬はOKという二重基準(ダブルスタンダード)は許されず、環境問題に関して一貫した態度を貫くことが非常に重要と思われる。

泡瀬訴訟9月29日
裁判所入口まで行進する原告団(9月29日、控訴審第2回公判)
キクメイシモドキ
泡瀬のサンゴリーフチェック(9月6日)で見つけた、リュウキュウサルボウ(生貝)に着生しているキクメイシモドキ(サンゴ)。辺野古・大浦ではスイショウガイに着生した例はありますが、リュウキュウサルボウへの着生は今まで報告がありません

 第二次泡瀬訴訟は、提訴、地裁判決(2月24日)を経て、控訴審に入っている。地裁判決は、上にあげた環境問題以外にも、(1)事実誤認が多い、(2)法律に基づく「沖縄県地域防災計画」「津波防止地域づくりに関する法律」に反している、(3)需要予測に問題があり経済的合理性がない、等の問題点があり、まさに不当判決であった。
 私たちは、先の翁長知事の辺野古承認取り消しの理由を泡瀬埋め立て問題の瑕疵につなげ、泡瀬埋め立て承認も取り消すべきであるとの新たな準備書面を提出する。
 一方で、翁長知事は、泡瀬干潟のラムサール条約登録について「意義のあること、地元自治体へ働きかけている」ことを2015年6月議会で答弁しており、登録に向けて展望も開けてきた。2018年のラムサールCOP13で実現できるように運動を進めたい。

ラムネットJニュースレターVol.21より転載)

2015年11月22日掲載