報告:生きものあふれる田んぼと地域づくりシンポジウム〜大分県豊後大野〜
NPO法人田んぼ/ラムネットJ理事 舩橋玲二
ラムネットJの水田部会では、田んぼの生物多様性向上10年プロジェクトの地域交流会を開催しています。2016年2月27日には、大分県の南西部に位置する豊後大野市で、「生きものあふれる田んぼと地域づくりシンポジウム」と題して行いましたのでご報告します。
オオイタサンショウウオの卵塊。しみ出し水を探して水たまりを作れば産卵地を増やせます
最初の話題提供として、地元豊後大野市の生物多様性に関する取り組みを市商工観光課の神志那さんから、田んぼ10年プロジェクトの説明を呉地共同代表から、琵琶湖の「魚のゆりかご水田」の取り組みを滋賀県野洲市の農家、堀さんと滋賀県職員の青田さんからいただきました。
次に地元からの報告として、高校生から、80歳代の大ベテランまでを含む4組から発表がありました。市域全体が日本ジオパークに認定されている豊後大野の魅力探しの様子、早春の田んぼに水を入れたら、ヤマアカガエルやオオイタサンショウウオが卵を産みに来て、その数も増えていること、廃校を拠点に地域外からも多くの人を呼び込むイベント展開、「夜なべ談義」を繰り返して集落の魅力再発見や将来ビジョンの策定というふうに、多彩な取り組みが紹介されました。他の地域と同様、過疎高齢化から人口減少の時代に入りましたが、できることを少しずつ、無理をせずにやっていく、そんな自然な取り組みが豊後大野スタイルです。次はどんなアイディアが出てくるか楽しみです。
美しい棚田の景観
平野の真ん中に突如現れる原尻の滝は、豊後大野を特徴づける地形のひとつ
パネルディスカッションでは、豊後大野の豊かな自然をどうやって活かしていくか?について議論されました。学校給食での地域食材活用など、将来を担う子どもを温かく見守りながら育てていくためには、豊かな恵みをもたらす里山やきれいな川が必要なことが再認識されました。
最後に橋本市長が豊後大野の自然と共に歩み、発展させることを「生きものあふれる豊後大野宣言」として読み上げ、会場は拍手に包まれました。
この交流会では、地域の自然を良くしていくための取り組み例を確認できるチェックシートを使って、参加者の皆さまに「自分にできること」を宣言してもらいました。この宣言は豊後大野の自然を豊かに保つ力になることでしょう。田んぼ10年プロジェクトへの登録もたくさんの方からいただきました。
(ラムネットJニュースレターVol.23より転載)
2016年05月23日掲載