狭山丘陵の墓地開発計画が中止に!
トトロのふるさと基金事務局長 北浦恵美
昨年3月に、ご報告させていただいた、東京・埼玉にまたがる、狭山丘陵の墓地開発問題のその後のご報告です。ラムネットJの陣内隆之さんに湿地保全の重要性のお話をいただいてから2年。墓地開発業者がついに計画を諦め、所沢市の公有地化に協力する、と申し出ました。そして、この2018年9月の所沢市議会で本件土地の公有地化のための1億3500万円の補正予算案が可決されました。
狭山丘陵・葛籠入湿地
この地域に生息するヘイケボタル
2013年12月にこの墓地問題が発覚してから5年近く、狭山丘陵の谷頭部であり、蛍の生息する貴重な湿地の水源地である当該計画地の開発をなんとか止めてもらいたい、とさまざまな取り組みを進めてきました。反対署名や計画地を買い取るためのトラスト基金を呼びかけました。市に提出された署名は7万を超えました。専門家の協力を得ながら、意見書や要望を提出し、開発計画に対抗してきました。こうした取り組みに協力をいただいた、たくさんの市民の貴重な自然を守りたいという思いが実ったものと考えています。
2016年7月から呼びかけ集まった、「葛籠入(つづらいり)保全トラスト基金」(615件3779万7452円)については、全額、公有地化を進める所沢市に寄付をし、公有地化のための資金の一部とされることとなりました。
公有地化が実現したあとは、この地の自然回復と保全を、所沢市と協議をしながら進めていくこととしています。現地は計画の途上で樹木が皆伐・抜根され、オオブタクサやニセアカシアが繁茂する荒れ地となっています。ここに、狭山丘陵で減少しているアカマツを植え、猛禽類の営巣木となるよう育てたい、昔の植生を回復させ、協力してくれた市民と共に、直下の湿地の環境を守っていきたい、など夢が膨らみます。蛍が舞い、多くの野鳥が訪れ、水浴びや採餌場として利用される豊かな狭山丘陵の湿地環境が失われることのないよう、これからも皆さまの支援をいただきながら取り組みを進めていきます。
(ラムネットJニュースレターVol.33より転載)
2018年12月15日掲載