三番瀬の保全と第二湾岸道路
三番瀬のラムサール条約登録を実現する会 立花一晃
(写真提供:田久保晴孝さん)
三番瀬は、下の地図に示すように、東京湾の千葉県船橋市、市川市、浦安市の沿岸に広がるおおよそ1800haの海域です。他の大都市近辺の沿岸海域の多くが埋め立てられるなか、この海域は熱心な保護を求める人たちの努力で、東京湾にわずかに残された貴重な浅海域となっています。
平成15年度三番瀬自然環境総合解析「三番瀬の現状」報告書では、鳥類、魚類、底生生物から、確認度の高い生物や確認等の詳細な情報が得られている生物として、鳥類はマガモ、スズガモ、ミヤコドリ(全国1位)など42種、魚類はアオギスなど13種、底生生物はアサリ、ニホンドロエビなど25種の計80種について生態や生息状況を整理しています。
三番瀬のシギ・チドリ類と干潟
浦安市の第二湾岸道路予定地
三番瀬は、首都東京にごく近いこともあり、何度かの埋め立てによる消滅の危機がありましたが、それを乗り越えて保全されてきました。そうした幾多の消滅の危機の中で、今日わずかに残った貴重な海域の環境に大きな影響を及ぼすのが、三番瀬を通る第二東京湾岸道路の建設計画です。この計画は、1994年に構想が持ち上がり、三番瀬周辺など、東関東自動車道の内側を通るルートが想定されましたが、私たちの反対運動などで今日まで建設されていません。
ところが、この1月17日、森田健作千葉県知事が国に出向いて整備の早期具体化を要望し、石井啓一国交相がこれに応じたとのことです。第二湾岸について森田知事が国に直接要望したのは初めてで、慢性的な交通渋滞緩和などが目的であると述べています。
現時点では、第二湾岸道路は、具体的には示されていませんが、これまでに一般に予想されているのは、右の地図に示されているようなものです。私たちの強い抗議に対し、県は三番瀬の自然環境に影響しないように最大の考慮を払う旨、回答しています。しかし、第二湾岸道路の建設は、三番瀬の現在の自然環境に影響することは避けられず、私たちは反対の声をさらに強める必要があります。
(ラムネットJニュースレターVol.35より転載)
2019年05月01日掲載