石木ダム建設問題の近況

川原人(こばると)会 石丸 勇

ほたる祭り会場のにぎわい

ほたる祭り会場のにぎわい

■若い世代も自然に飢えている 
 川原ほたる祭りの様子
 川棚川の支流石木川の中流域では、毎年5月の最終土曜日に川原ほたる祭りを開催しています。32回目の今年のほたる祭りは、ホタル乱舞の最盛期と祭りの時期が合致し例年になく良かったです。この時期半月余りは、人混みを避けて神秘的な光のショーを楽しむ若者が増えています。ホタルの乱舞が例年になく凄かったのは、ホタルもこの川の危機を察知しているのでしょうか。

■収用をめぐる最近の動き
 2019年5月23日の長崎新聞は、「石木ダム全用地収用裁決 反対地権者宅地も 県委員会 明け渡し求める」と1面トップ記事で報じました。長崎県東彼杵郡川棚町、今全国の心ある人々が辺野古と共に注目している石木ダム建設地の新たな動きです。
 長崎県は、2015年7月に身内で固めた県収用委員会へ水没予定の反対地権者13世帯の宅地を含む全用地を強制収用のテーブルに載せるために裁決を申請、委員会は受理し審議していました。その結果、5月21日に収用が裁決されたというわけです。ダム計画が知られてから半世紀以上、1975年の事業採択からでも44年を経過した石木ダムです。長崎県は強権的な姿勢を改めることなく、この段階まできました。知事が持つ残るカードは行政代執行しかありません。反対地権者等からは、「なぜ、今この時期に?」という素朴な疑問が投げかけられています。その答えの一端が新聞の解説記事にありました。「追い詰められたのは(むしろ)(長崎)県」というわけです。水没予定地には絶対反対の13世帯しか残っていません。そして13世帯はこの地を絶対離れないと言っているのです。

新聞記事
2019年5月23日の長崎新聞の1面(提供:長崎新聞社)
抗議の座り込み
付け替え道路工事現場では連日抗議の座り込みが続く

■映画「ほたるの川のまもりびと」の話題
 映画の力ってこんなに凄いのか、とつくづく実感しています。映画を見て現地を訪問する人が増えているからです。映画を見て現地訪問した人や支援者から、「なぜ、ここの闘いは強いのか?」と聞かれることがあります。でも、私たちの反対運動が特別強いわけでもなく、「ただ、ここに住み続けたいだけ」なのです。強いて言えば、必要のないダムのために私たちが犠牲になる必要はないと強く思うからです。長い闘いは苦しいですが「あきらめないことが勝つための方程式」という法則を共有できるように、これからも映画の力を信じて自然体で向き合います。

■町議選でトップ当選
 4月21日投開票の川棚町議会議員選挙では、反対地権者がトップ当選しました。川棚町内でくすぶり続ける、石木ダム推進劇にうんざりという町民が反応してくれました。行政と議会が推進でも、反対地権者が議会に入れば推進にブレーキが掛かります。変化に期待するものです。闇の中のホタルの光でも、たくさん集まれば世を変える光になることを願って。

石木ダム反対運動情報
水源連ホームページ.........http://suigenren.jp/
石木川まもり隊ブログ......http://ishikigawa.jp/
ラムネットJニュースレターVol.36より転載)

2019年08月28日掲載