湿地巡り:東よか干潟(佐賀県)
佐賀市役所環境部環境政策課 福岡正和
東よか干潟は、九州の有明海の最奥部北岸に位置し、佐賀県南部に広がる泥の干潟です。
有明海の干満差は最大約6mと日本最大で、干潮時には見渡す限りの広大な干潟が姿を現し、その沖合では、生産量・販売額ともに日本一を誇る有明ノリの養殖でも有名です。
一方、手前の干潟のほうでは、ムツゴロウやシオマネキなどの有明海の特有の生物やゴカイなどの底生生物も数多く生息し、その豊かな恵みを求めクロツラヘラサギなどの絶滅危惧種を含む水鳥類が数多く渡ってきています。
中でもシギ・チドリ類は、環境省のモニタリング調査で日本一の渡来数を誇っています。
その渡り鳥たちの生息地としての重要性が認められ、2015年に国際的に重要な湿地として、東与賀海岸沖の干潟218haがラムサール条約湿地に登録されました。
佐賀市では、ラムサール条約の目的についてさまざまな取り組みを行っています。 まず「保全・再生」については、地元の大学や研究機関などと協力し干潟に生息する生物の種類、生息範囲、生息数を調査し、干潟の環境変化を確認しています。
また、毎年海岸清掃イベント等で東よか干潟をきれいにし、保全につなげています。
次に「ワイズユース」として、古くから有明海では伝統的な漁法による漁業や、豊かな栄養分と干満差を生かしたノリ養殖が行われ、伝統的な知恵と技、そして有明海の恵みの食文化が世代を超えて引き継がれています。
また、昨年5月には「シギチフェス2019 in 東よか干潟」を開催し多くの方に東よか干潟を楽しんでいただきました。
そして「交流・学習」では、子供から大人まで参加している「東よか干潟ラムサールクラブ」による地元での環境学習や他の地域との交流などが盛んに行われています。
今年の秋には東よか干潟のそばに「(仮称)東よか干潟ビジターセンター」が開館します。佐賀市では、この施設を中心に自然豊かな「東よか干潟」がいつまでも美しい干潟であり続けるよう、その価値やすばらしさを多くの人に伝え、守り、持続的に活用し、未来につないでいくために取り組んでいきます。
東よか干潟の風景
ビジターセンターの完成予想図
(ラムネットJニュースレターVol.38より転載)
2020年03月05日掲載