湿地巡り:肥前鹿島干潟(佐賀県)
鹿島市役所ラムサール条約推進室 中村さやか
佐賀県鹿島市にある肥前鹿島干潟は有明海の湾奥に広がる泥干潟です。2015年5月に国指定鳥獣保護区特別地区に指定され、国際的に重要な湿地としてラムサール条約湿地に登録されました。
肥前鹿島干潟を挟むように塩田川と鹿島川という2つの大きな河川が流れています。この2つの河川からは栄養分豊かな水が流れてくるため、干潟にはたくさんの生き物たちが生息しています。有明海の人気者ムツゴロウや、トビハゼ、ヤマトオサガニ、干潟の中にはゴカイ類も生息し、それらを餌にするズグロカモメやチュウシャクシギやハマシギなどが多数飛来します。特に春の渡り時期のチュウシャクシギの飛来数は国内有数を誇り、1000羽を超える大きな群れが観察されます。
肥前鹿島干潟で行われる野鳥観察
ゴカイ類を捕まえたハマシギ
また、鹿島市は、ラムサール条約登録を機に市内全ての小学校において「干潟体験」「水生生物調査」「干潟の浄化実験」「野鳥観察」の4つのプログラムからなる環境教育を実施しています。山から川そして海・干潟とつながる自然の営みの学習に力を入れており、冬期は肥前鹿島干潟で野鳥観察を実施し、絶滅危惧種であるツクシガモ、ズグロカモメ、時にはクロツラヘラサギを観察でき、子供たちは大喜びです。体験を通じた活動で子供たちに有明海の環境の素晴らしさを伝えています。
今年はラムサール条約登録5周年となり節目の年を迎えます。これからも地元に愛される肥前鹿島干潟を目指していきたいと思います。
(ラムネットJニュースレターVol.39より転載)
2020年06月24日掲載