和白干潟の奈多団地うらの古い護岸の改修工事が始まりました。堤防を作り変えるために、干潟上に造られる工事用道路や、古い堤防の撤去によって、干潟に生息する多くのいきものたちが一旦死滅してしまいます。 私たちは、小さなカニや貝などの生きものたちを少しでも守りたいと思い、安全な場所へ引越しをさせることにチャレンジしています。
160万都市の中の和白干潟。「持続可能な賢明な利用」って何だろう?
和白干潟は、博多湾の東の奥にある約80haの可憐な干潟です。 砂っぽい場所や、泥っぽい場所、磯干潟、アシ原と塩生植物。 広くはないけれどいろんな環境が揃っています。そして、人の暮らしや産業、開発、人口増加の影響を強く受けてきた160万都市の中の干潟でもあります。
和白干潟の価値はいろいろありますが、最大の価値は大都市の中に豊かな水辺環境と大切な命のつながりが現在も息づいていることではないでしょうか。
干潟にはいろんな生きものたちがたくさん暮らしています。ウミニナ、アサリ、コメツキガニ、アシハラガニ、ハクセンシオマネキ、クルマエビ、ツバサゴカイ、タマシキゴカイ、トビハゼ、クサフグ、ボラ、アシ、ウラギク、ハママツナ・・・・絶滅希少種もたくさんいます。
でもほとんどの生きものたちは、泥の中や水の中、アシ原の中など、人間には見えない場所にいます。 だから、遠くから見ただけでは、干潟の生きものたちの姿は見えません。 干潟には私たちがまだ知らないことがたくさんあるんです。 見えないけれど、いのちがたくさんが隠れているんです。
可愛い生きもの、不思議な生きもの、貴重な生きもの。まさに和白干潟は「いのちのワンダーランド」です。
2000年に来福した、デンマーク政府のハンス・スコット・ムラー博士(湿地再生の専門家)は、「和白干潟は、コンパクトに様々な環境が揃っています。環境学習や干潟観察に最適の場所です。」 とアドバイスしました。
干潟など湿地の保護条約・ラムサール条約のキーワードは「持続可能な賢明な利用/ワイズユース[Wise Use]」です。 人間が湿地の豊かな恵みを受けとりながら、その恵みを公平に何世代も未来につなぐために、湿地の生態系や環境を守らなけらばならないということす。 例えば和白干潟で、今年、私たちが100万個のアサリを採ったなら、子や孫の世代にも同じように100万個のアサリが採れる干潟を手渡しましょうということです。
漁業や農業などの利用はもちろんですが、環境学習や観察会、日々の憩いの空間。 地域のお祭り、伝承文化なども大切なワイズユースです。 さらに失われた干潟の回復や、環境再生のための取り組みも重要です。
私たちは、開発が進んだ「都市の中の干潟」のワイズユースを創ります。