生きている化石と言われ絶滅危惧種に指定されているカブトガニは、地元では昔からハチガメと呼ばれ親しまれてきました。国内有数の産卵場所である朽網川河口海岸で、カブトガニの産卵を観察するとともに、今後の産卵が無事にできるように、また産卵した卵が無事孵化できるように、周辺の漂着ゴミの片付けも行います。カブトガニとカブトガニの棲む海、曽根干潟を多様な世代で協力して、守り次世代に残そうとする取り組みです。
北九州市小倉南区朽網東に所在。瀬戸内海側の周防灘・豊前海に面した東朽網校区は、水源である水晶山(531m)、そこからの豊富な水を貯え曽根平野へ水を潤す貯水池(昭和池:周囲約2.5km)、住民の生活環境となる川(朽網川)、そして豊かな養分を送り出す河口から海(曽根干潟)までを擁しています。 それぞれに地域の宝とも言える豊かな自然環境を有した地域です。
東朽網の豊かな自然を活かして、環境の変遷や地域の未来を住民全体で考えていく上で大人から子どもまで一緒に学ぶ体験型学習(水晶山登山、昭和池清掃と植樹の下草刈り、朽網川河口清掃、カブトガニ産卵観察会等)や環境保全活動を実施しています。これらの活動を通して、山から海へ繋がる水環境が守られ次世代へ繋ぐことの大切さを共感できる環境意識の高い人づくりを行っていくことを目的としています。
まちづくりの一環として行う自然環境を守る活動ですが、身近に存在する自然の豊かさをまず知ることや触れることを大切にしながら、保全活動への関心を高め参加者の増加につながるように校区公認ご当地キャラクター「ハチガメ花ちゃん」によるPR活動等にも取り組んでいます。
また、朽網管財・生産森林組合や朽網川農業用水利委員会、東朽網の環境を守る会、日本カブトガニを守る会福岡支部、TOTOアクアテクノ株式会社(小倉第2工場)の皆さんに協力後援団体として、地域のそれぞれの道のプロの人財に協力していただくことで、安全面の充実や活動の取組みの幅を一段と広げてきました。
主な活動としては、千本桜で有名な昭和池周辺の環境整備として、5、6,9,10月にもみじ谷の下草刈りや蔓の除去などの環境整備。2月に周回道路のクリーン作戦と桜の植樹を行っています。
朽網川の清掃活動は11月に、河口域及び朽網海岸の清掃活動は6月のカブトガニの産卵シーズンを前に、産卵場周辺の漂着ゴミや漂着海藻の除去を行います(今年は6月8日に実施予定)。
身近な自然の豊かさを知る活動として、7月にカブトガニの産卵観察会を行っていますが、2017年からは、春と秋に河口や干潟の渡り鳥や生き物観察を清掃活動とセットで行っています。また、3月の北九州空港開港記念イベントにあわせた、まち協健康づくり委員会主催の「海空ウォーキング」時には、参加者にいくつかのスポットで干潟の野鳥観察をしてもらったりコース周辺のごみ拾いをしてもらったりしています。
また、毎年11月3日には、水晶山清掃登山を実施しています。このような源流から干潟までの環境保全活動に取り組んでいます。活動の中心になってきた人材の高齢化や財政難の課題もありますが、克服しながら若い世代に引き継いでいこうと頑張っています。