博多湾人工島のクロツラヘラサギの生息保全に関する意見書
博多湾人工島では、埋め立て途上の人工的な湿地に、多くのクロツラヘラサギが飛来し生息しています。しかし埋め立て工事が完了し、人工湿地が乾燥すると生息場所は失われてしまいます。ラムネットJでは、この生息場所の保全を求めて署名活動を行っているウエットランドフォーラムの呼びかけに応じて、福岡市に対して人工島内の野鳥公園の拡大、福岡湾全体の湿地環境保全のために法的措置をとることを要望する意見書を2009年8月20日に提出しました。
この問題や署名について詳しくは、ウエットランドフォーラムのサイトをご覧ください。
2009年8月20日
福岡市長 吉田 宏 様
福岡市議会議長 光安 力 様
ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 花輪伸一・堀 良一
柏木 実・呉地正行
博多湾人工島(アイランドシティ)のクロツラヘラサギ
生息場所の保全に関する意見書
クロツラヘラサギは,北東アジアの限られた範囲で繁殖・越冬し,総数は約2,000羽と見積もられています.IUCN(国際自然保護連合),環境省のレッドデータブックでは,それぞれ絶滅危惧種,絶滅危惧㈵A類とされており,世界的に見て絶滅のおそれの強い鳥類です.
現在,博多湾人工島(アイランドシティ)では,埋立途上の人工的な湿地に多くのクロツラヘラサギが飛来し,日本国内では最大規模の生息場所になっています.しかし,埋立工事は間もなく完了し,人工湿地が乾燥するとともに,生息場所は失われてしまいます.
この絶滅のおそれの強いクロツラヘラサギの保護のために,以下の施策を実施していただけるようにお願いたします.
- 博多湾人工島(アイランドシティ)には,8ヘクタールの野鳥公園の計画がありますが,さらに面積を数十ヘクタールに拡大し,クロツラヘラサギ,ズグロカモメ,ツクシガモ,シギ・チドリ類など,博多湾沿岸の水辺の代表的な鳥類が生息できる環境にするため,野鳥公園計画を改定すること.
- 博多湾および今津湾を含む福岡湾全体を視野に入れて,博多湾人工島(アイランドシティ)野鳥公園,和白干潟,香椎海岸,名島海岸,多々良川河口,室見川河口,瑞梅寺川河口および今津干潟など,一連の湿地環境を生かして生物多様性を保全し,市民が自然に親しみ教育的な利用を図る場として,法的措置をとること.
以上,ご高配の程,よろしくお願いいたします.
2009年09月25日掲載