泡瀬干潟訴訟高裁判決支持と埋め立て中止を求める要請書

 ラムサール・ネットワーク日本では、10月15日の泡瀬干潟埋め立て事業に関する福岡高裁沖縄支部の判決に関して、10月20日付けで下記の要請書を、沖縄担当大臣、沖縄県知事、沖縄市長宛に送付しました。送付に当たって、2009年10月17日のシンポジウム「湿地と生物多様性」において採択された決議文も同封しました。



沖縄担当相  前原 誠司 様

ふたたび泡瀬干潟埋立事業を断罪した福岡高裁那覇支部判決を支持し
埋立中止を求める要請書

2009年10月20日
NPO法人ラムサールネットワーク日本
共同代表  堀  良一
同     柏木  実
同     呉地 正行
同     花輪 伸一

 10月15日,福岡高裁那覇支部は,泡瀬干潟埋立事業への公金支出差し止めを命じた那覇地裁判決を支持し,これを不服とした沖縄県,沖縄市の控訴を棄却した。
 泡瀬干潟と周辺浅海域は南西諸島最大の干潟・藻場であり,豊かな生態系をはぐくむ国際的に重要な自然である。
 昨年,東アジアとしては,1993年の釧路におけるラムサール条約第5回締約国会議から15年ぶりに,韓国において,同条約第10回締約国会議が開催され,世界の目が東アジアの湿地の現状にそそがれた。そのなかで,諫早湾干拓事業とともにこの国の湿地破壊の象徴として注目されたのが泡瀬干潟埋立事業であった。そして,来年には生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋において開催されようとしているなかで,この国を代表する生物多様性の宝庫たる泡瀬干潟の埋立が継続されることは,ホスト国としての資質にかかわる問題である。
 しかも,すでに土地利用の合理性が失われ,土地利用計画の見直しをしなければならないほどの迷走状態に陥っているにもかかわらず,目的を喪失した埋立工事が国際的に重要な湿地を破壊しながら暴走する事態は,湿地と生物多様性を保全しようとする国際的潮流に逆行する事態である。
 これに対して,地裁判決に続き,確固としたNOの回答を示した高裁判決を,わたしたちは断固支持する。
 国は,世界の潮流に沿ったあまりにも当然の司法の判断を尊重し,目的を喪失した埋立を,ただちに中止すべきである。
 すでに行われた工事による構築物を撤去し,傷つけられた泡瀬干潟を再生すべきである。
そのうえで,泡瀬干潟と周辺浅海域をラムサール登録し,湿地と生物多様性保全の名誉ある姿を世界に示すことを要請する。
以 上



沖縄県知事 仲井眞 弘多 様
沖縄市長  東門 美津子 様

ふたたび泡瀬干潟埋立事業を断罪した福岡高裁那覇支部判決を支持し
上告断念を求める要請書

2009年10月20日
NPO法人ラムサールネットワーク日本
共同代表  堀  良一
同     柏木  実
同     呉地 正行
同     花輪 伸一

 10月15日,福岡高裁那覇支部は,泡瀬干潟埋立事業への公金支出差し止めを命じた那覇地裁判決を支持し,これを不服とした沖縄県,沖縄市の控訴を棄却した。
 泡瀬干潟と周辺浅海域は南西諸島最大の干潟・藻場であり,豊かな生態系をはぐくむ国際的に重要な自然である。
 昨年,東アジアとしては,1993年の釧路におけるラムサール条約第5回締約国会議から15年ぶりに,韓国において,同条約第10回締約国会議が開催され,世界の目が東アジアの湿地の現状にそそがれた。そのなかで,諫早湾干拓事業とともにこの国の湿地破壊の象徴として注目されたのが泡瀬干潟埋立事業であった。そして,来年には生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋において開催されようとしているなかで,この国を代表する生物多様性の宝庫たる泡瀬干潟の埋立が継続されることは,ホスト国としての資質にかかわる問題である。
 しかも,すでに土地利用の合理性が失われ,土地利用計画の見直しをしなければならないほどの迷走状態に陥っているにもかかわらず,目的を喪失した埋立工事が国際的に重要な湿地を破壊しながら暴走する事態は,湿地と生物多様性を保全しようとする国際的潮流に逆行する事態である。
 これに対して,地裁判決に続き,確固としたNOの回答を示した高裁判決を,わたしたちは断固支持する。
 沖縄県と沖縄市は,世界の潮流に沿ったあまりにも当然の司法の判断を直ちに受け入れるべきである。この上,上告などという暴挙によって,湿地と生物多様性保全に逆行する姿を世界にさらしてはならない。
 沖縄県と沖縄市は,すみやかに上告を断念するとともに,国と協議して,すでに行われた工事による構築物を撤去すべきである。そのうえで,泡瀬干潟と周辺浅海域をラムサール登録し,湿地と生物多様性保全の名誉ある姿を世界に示すことを要請する。
以 上

2009年11月03日掲載