COP11に向けた条約湿地候補地選定とラムネットJの取り組み
ラムネットJ事務局長 浅野正富
■条約湿地候補地の選定作業が始まる
2007年11月に策定された第3次生物多様性国家戦略では、2012年のラムサール条約第11回締約国会議(COP11)までに、ラムサール条約湿地を10か所追加登録する目標が揚げられています。2008年のCOP10で4か所が追加登録されていますので、これから2012年までの間に6か所が追加登録されることになります。
環境省は、2012年のCOP11を前にしたこの時期、2004年に選定した54か所の候補地リストに新たな候補地を加えていくため、「ラムサール条約湿地候補地検討会」を設けました。委員の一人にラムネットJ共同代表の呉地正行さんも選任されています。2月2日を第1回として、2009年度中に2回、2010年度中に少なくとも2回の会議が開かれ、新たな候補地が選定されます。
ラムネットJとしては、条約湿地候補地検討会の動きに注目しながら、各地で地元の湿地をラムサール条約に登録するための取り組みを続けられているみなさまとともに、1か所でも多くの条約湿地の登録を目指す活動を強力に展開して行きたいと考えております。
■2030年までに100か所の登録を
ラムネットJでは1月7日に、条約登録を担当している環境省自然環境局の野生生物課と懇談の機会を持ち、候補地選定に関する提言書を提出してきました。この提言書では、COPごとに10か所以上の追加登録と10万haの登録面積の増加を目標にして、2030年のCOP17までには、日本国内で100か所以上、75万ha以上の登録を実現させていくべきとして、そのために保護区の指定の問題や規模の大小の問題等、従来の候補地選定方針の大幅な見直しを提言しています。提言書はラムネットJのホームページでも公表しておりますので、どうぞご覧ください。
提言書でも触れていますが、上のグラフのとおり日本の登録状況はヨーロッパ諸国と比べ非常に貧弱です。国際的に重要な湿地のネットワークを構築していくためには、まず国内のネットワークを構築しなければならず、今回の提言書のとおり、日本国内で少なくとも100か所程度のラムサール条約湿地を登録する必要があることは明らかです。
ラムネットJでは、今後各地で登録推進活動をどのように進めていったらよいのか、全国の関係者が一堂に会して議論できるよう、3月14日にラムサール条約湿地登録推進のための作戦会議を東京で開催する予定です。場所や時間などは、ホームページでご案内しますので、みなさま奮ってご参加ください。
(ラムネットJニュースレターVol.3より転載)
2010年02月07日掲載