暴走する韓国4大河川整備事業

ラムネットJ事務局 陣内隆之

 いま韓国では「4大河川再生整備事業」という名称の一大プロジェクトが著しいスピードで進行しています。
 ソウルのシンボルとも言えるハンガン(漢江)、公州や扶余を流れるクムガン(錦江)、全羅南道を縦断して木浦に至るヨンサンガン(栄山江)、慶尚道を縦断する一番長いナクトンガン(洛東江)で大規模な土木工事が行われています。5.7億m2の川底を浚渫、16か所で固定堰(ダム)、6か所で調整池やダムを建設し、377kmの堤防を整備、1206kmの自転車路建設など、総額22兆ウォン(約1兆8000億円)以上という大型公共事業です。洪水を防ぎ、水資源を確保し、生態系を復元するという目的で行われ、イ・ミョンバク政府の掲げる「グリーン・ニューディール」の目玉とされています。
 ラムネットJでは、今年2月末と7月上旬の2回にわたって市民視察を行いましたが、防災や利水などの事業目的は口実で、実際は多大な環境破壊を引き起こす有害事業であることが分かりました。特に工事によって渡り鳥の餌場として重要な河川付近の湿地や水溜まりなどが破壊され、幾つものダム建設により山・川・海のつながりがズタズタに切り裂かれている光景は目を覆うばかりでした。また、環境アセスの期間がわずか4か月ほどで、昨年の11月から本格的な工事を始め、2012年の完了を目指して、既に全体の60%が終了するという急ピッチなやり方に不安と怒りの声が上がっています。韓国におけるこの事業の影響は、日本を含む東アジア全体の環境問題であり、決して他人事ではありません。

河川工事の現場
河川工事の現場(2010年2月)

韓国の4大河川
韓国の4大河川

(ラムネットJニュースレターVol.4より転載)

2010年07月23日掲載