「三番瀬」の船橋海域のラムサール条約先行登録とは?

三番瀬のラムサール条約登録を実現する会 立花一晃

■東京湾の貴重な干潟・浅海域「三番瀬」
 三番瀬は、東京湾が1960年代の高度経済成長の時期に、京葉工業地帯造成などで90%以上が埋め立てられるなかで、わずかに残された1800ha(航路を含む)の干潟・浅海域です。
 この海域は、周辺都市から流入する大量の生活排水にもかかわらず、魚類、鳥類、底生生物、動植物プランクトンなど、県の調査で判明した11種のレッドデーターブックに掲載される希少種を含む647種が生息する生物の多様性に富んだ豊かな海域です。
 そしてこの豊かな生物相を支えているのが、世界的にも珍しい、この狭い海域に全く性質の異なる泥干潟と砂干潟という2つの干潟・浅海域の存在です。また、三番瀬はアサリ漁やノリ養殖を中心にした漁業が盛んで、稚魚の揺籃の海域として江戸前漁にとって貴重な海域です。

三番瀬

三番瀬の地図

■三番瀬のラムサール登録実現に向けて
 2002年堂本知事の三番瀬の埋め立て白紙撤回をうけて発足した「三番瀬再生計画検討会議」(円卓会議)は、三番瀬再生の制度的担保の1つとして、ラムサール条約への登録を答申しました。この答申を実現すべく、2004年以来、私たちは県民・市民に署名の協力を求め、これまでに約12万人の署名を集めました。
 こうした状況の下で、円卓会議の後継組織である三番瀬再生会議は昨年、3つのワーキンググループを発足させました。その1つであるラムサール条約グループでの合意を受けて、再生会議は『2012年に実施される次回締約国会議における登録を目指すには、2010年度中に関係者の合意形成を前提として明確な意思表示を行う必要がある。そのため、2010年度中に、まずは、三番瀬全体での登録を目指すために努力をするとともに、これが困難な場合は、船橋地域の登録を目指す』ことを6月30日に出席者全員で合意・決定しました。
 三番瀬は、環境省が選定した54か所の登録候補地に入っていて、ラムサール条約湿地の9つの国際的登録条件のうち5つに該当します。登録実現への最大の課題は、国内条件である「地元自治体から登録への賛意が得られること」にあります。三番瀬全体の登録は、市川市の人工干潟造成計画などで当面は無理であるため、私たちは登録への条件がすべて整っていて、三番瀬全体の3分の2を占める船橋海域の先行的登録の実現を追求しています。皆様のご理解をよろしくお願いいたします。

(ラムネットJニュースレターVol.4より転載)

2010年08月20日掲載