「湿地のグリーンウェイブ」参加団体募集

水辺の生命と暮らしを守る〜春の湿地保護全国キャンペーン
「湿地のグリーンウェイブ」にご参加ください

 ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)では昨年春、水田の生物多様性をテーマにしたキャンペーンとして「田んぼのグリーンウェイブ」を実施しました。今年からは対象を湿地全体に発展させて、「湿地のグリーンウェイブ」として開催します。ただいま、キャンペーンへの参加イベントを実施していただける団体を募集中です。
 このキャンペーンは、1997年に諫早湾が閉め切られ広大な干潟が消滅することになった日である4月14日(干潟・湿地を守る日)から、世界的な植樹キャンペーン(グリーンウェイブ)が行われる5月22日の国際生物多様性の日までを、湿地と生物多様性の保全を普及・推進する期間として、自然観察会、生きもの調査、田植え、シンポジウムなどの活動を、全国で連携して行おうというものです。
 湿地保全のための国際条約であるラムサール条約は、今年で40周年を迎えました。国内でも湿地保全の気運は年々高まり、昨年はついに諫早湾の開門を命じる判決が確定しました。また昨年、名古屋で行われた生物多様性条約COP10では、ラムサール条約COP10と同様に、湿地としての水田の生物多様性向上を求める「水田決議」が採択されました。
 しかし、泡瀬干潟の埋め立てなど、開発による湿地の破壊は各地で続いています。トキやコウノトリが棲めるような生物多様性を重視した農業が行われている地域も、まだ一部にとどまっています。このキャンペーンを通して湿地保全や再生に取り組む人々のネットワークを拡大し、生物多様性保全の重要性を幅広くアピールしていきたいと思います。
 今年は「国連生物多様性の10年」の始まりの年でもあり、私たちNGOも生物多様性保全のための積極的な行動が求められています。地域の子どもたちや市民が湿地の素晴らしさや大切さに気づき、湿地を守るための活動に関心を持ってもらえるようなイベントを実施して、このキャンペーンにぜひご参加ください。
 全国に湿地保全のウェイブを広げていきましょう。

●キャンペーンの内容
4月14日(干潟・湿地を守る日)〜5月22日(国際生物多様性の日)を中心とした4月〜5月に、湿地保全に関するイベントを「湿地のグリーンウェイブ」参加イベントとして、各地で自由に自主的に開催してください。ラムネットJ事務局では以下のような活動を行います。
・リーフレットの作成
  各参加イベントの概要を掲載。3月下旬発行予定。
  各参加団体に一定枚数を支給します。
・ホームページの作成と運営
  各参加イベントの詳細、参加団体の紹介などを掲載します。
・宣言文の作成
  後日ホームページに掲載。
  必用に応じて各自でダウンロードしてご自由にお使いください。
・湿地の生物多様性についての冊子の作成(予定)
・マスコミ等へのPR
・ラムサール条約、生物多様性条約事務局への報告
・関連グッズ等の作成(予定)

●参加イベントの種類
 自然観察会、生き物調査、田植え、湿地の手入れ(クリーンアップ)、シンポジウム、写真・絵画展、コンサート、上映会、学習会、エコツアー、ハイキングなど、湿地保全に関連するイベントでしたらどのようなものでも結構です。

●参加タイプと参加登録費など

(1)公開イベントでの参加
 対 象:一般からの参加者を募集するイベントを実施する団体
 リーフレット掲載:イベントの日時、場所、内容、問い合わせ先等を掲載
 参加登録費:3000円
 リーフレット支給:100枚

(2)限定イベントでの参加
 対 象:一般からの参加者を募集しない、
     学校や職場内などでのイベントを実施する団体
 リーフレット掲載:イベントのタイトル、団体名のみ
 参加登録費:無料
 リーフレット支給:30枚

(3)協賛団体として参加
 対 象:イベントは実施しないが、キャンペーンの趣旨に賛同して、
     協賛金にご協力いただける団体
 リーフレット掲載:団体名のみ
 協賛金 1口:3000円
 リーフレット支給:30枚

※リーフレットの追加をご希望の場合は実費にて頒布します。

●申し込み方法・締切
参加申込書にご記入の上、下記の宛先までメール添付かFAXでお送りください。
・申し込み締切:2011年2月28日(月)
 締切後の申し込みも受け付けますが、
 イベント内容の掲載はホームページのみとなります。

●後援団体(予定)
 WWFジャパン、日本野鳥の会、日本自然保護協会、CBD市民ネット
●申し込み・お問い合わせ
 NPO法人ラムサール・ネットワーク日本
 〒113-0021 東京都文京区本駒込4-38-1 冨士ビル2F 担当:安藤よしの、陣内隆之
 TEL 090-5330-9456(安藤よしの) FAX 03-5842-1882
 Eメール event@ramnet-j.org(湿地のグリーンウェイブ担当アドレス)

●参加申込書(Wordデータ)
募集要項(PDFデータ)このページの同じ内容です。



2011年2月2日
「湿地のグリーンウェイブ」を始めるにあたって

NPO法人 ラムサール・ネットワーク日本
共同代表:柏木 実、呉地正行、花輪伸一、堀 良一

 1971年に採択されたラムサール条約も今年で満40歳。湿地の保全と賢明な利用を進める条約として、湿地にかかわる私たちの重要なツールとなってきました。一方、昨年名古屋では、生物多様性条約の締約国会議(CBD/COP10)が開かれ、生物多様性保全の大切さがようやく知られるようになりました。CBD/COP10では、NGOから提起された「国連生物多様性の10年」決議が採択されるなど、国際社会が協力して生物多様性の保全に取り組むことが確認されました。湿地は生物多様性の保全にとってきわめて重要な環境であり、私たちは未来世代に大きな責務を負っていると言えます。
 しかしこの間、湿地の減少は止まることなく、今も様々な脅威と向き合っています。
 中でも、長崎県諫早湾の広大な干潟とそこに棲む生き物たちが消滅した1997年4月14日の"ギロチン"は、干潟の重要性を全国に知らせた出来事として忘れることはできません。湿地破壊の象徴となった"ギロチン"の悲痛を胸に、4月14日を「干潟を守る日」と定めて全国の干潟・湿地の保全に取り組む運動が始まり、間もなく14年を迎えます。その歴史の中で、昨年は画期的な年でした。諫早湾の水門開放を求める判決が確定し、いよいよ干潟再生への扉が開かれることとなったのです。このことは、湿地保全・再生の取り組みが持続可能社会の構築にとって必要不可欠なものであると広く認識された第一歩と言えます。諫早と同様に生物多様性の宝庫でありながら未だ開発の動きが止まらない全国の湿地においても保全・再生への途を進めなければならず、「干潟を守る日」として諫早から始まった運動は、第2ステージへといよいよ重要さを増しています。
 一方、生態系破壊が進んでいた水田では、2008年に韓国で行われたラムサール条約COP10で決議が採択され、条約で湿地と認識されていることがあまり知られていなかった水田の生物多様性保全機能が評価されました。昨年のCBD/COP10でも同様に水田決議が採択され、ラムサール条約に引き続いて水田の生物多様性の重要性が認められることとなりました。決議採択を推進する普及啓発として昨年行った「田んぼのグリーンウェイブ」では、日本各地で様々な団体が参加し、水田の賢明な利用が生物多様性の保全に大きな役割を果たしていることを世界同時に呼びかけました。グリーンウェイブとは、生物多様性条約事務局より呼びかけられた国連国際生物多様性の日(5月22日)のイベントで、世界各地の青少年の手で植樹等を行い生物多様性の繋がりを学びあう普及啓発活動の一つですが、私たちは田んぼでの活動からウェイブを広げていったのです。ラムサール条約40周年記念となる今年、またCBD/COP10で採択された「国連生物多様性の10年」のスタートを迎えて、このグリーンウェイブを田んぼからさらに湿地全体へと発展させ、湿地の生物多様性の保全と賢明な利用を広く普及させる意義は大きいと考えます。

 以上のような背景を踏まえ、私たちは、4月14日の干潟を守る日から5月22日の国連生物多様性の日までの期間を中心に、「湿地のグリーンウェイブ」として湿地保全全国キャンペーンを行うことにしました。全国の湿地保全に取り組む団体、市民、漁業者、農業者、研究者、行政、企業等あらゆる利害関係者と連携して、ラムサール条約の目標である「すべての湿地の賢明な利用」を実現し持続可能な社会を構築していくための取り組みを強力に展開していきたいと思います。そして、ラムサール条約や生物多様性条約の新戦略に対するNGOの実践行動の一つとして位置付け、両条約に報告することとします。条約の目標達成のためには、私たちNGOの参加や情報が欠かせないからです。湿原、河川、河口域、湖沼、水田、ため池、砂浜、干潟、浅海域、サンゴ礁、マングローブ林など様々な湿地にかかわる各地の関係者ができるだけ多くキャンペーンに参加することで、子どもたちや市民が地域の湿地の生物多様性に気づき、これを守るための行動がとれるようになることや、湿地減少の脅威と向き合っている地域の人達を支えるネットワークが築かれることを願っています。
 このキャンペーンが、みなさまの湿地の現状を動かす力となれば幸いです。全国に湿地保全のウェイブを広げていきましょう。

2011年02月02日掲載