CBD/COP10でのラムネットJ活動報告

 昨年10月に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(CBD/COP10)で、ラムネットJは決議の発案や採択に向けての行動、世界の湿地関係者を集めた会合の開催など、さまざまな活動を行いました。

●国連生物多様性の10年
 CBD/COP10の主要課題のひとつが「生物多様性の喪失をくい止める」でした。2010年を目標とした生物多様性保全戦略計画が達成されなかったので、締約国はこれからの10年間を短期目標として新しい戦略目標を採択しました。ラムネットJのメンバーが呼びかけた「国連生物多様性の10年」は、この目標を条約の枠組みを超えて国連全体、世界中で協力して達成するための仕組みです。ラムネットJが参加している生物多様性条約市民ネットワーク(CBD市民ネット)が政府に働きかけ、日本政府が締約国に提案して承認されました。
 また、ラムネットJが発案した「水田決議」もCOP10で採択されました(次ページ記事参照)。

●WWN湿地賞と世界NGO会議
 ラムサールCOP10で設立された世界湿地ネットワーク(WWN)は、2012年のCOP11に向け、地域で活動する草の根運動の声をきちんと条約に伝え、湿地の保全につなげていくことを最大の課題としています。その準備の中間発表の場としてCBD/COP10を位置づけ、WWNは2つの行事を実施しました。
 ひとつがNGOによる「湿地賞」の発表です。よく管理された湿地、再生がうまくいった湿地、管理に問題のある湿地を、大陸ごとに投票によって選んで公表しました。
 もうひとつは、ラムネットJと共同で10月24日に愛知大学で開催した「生物多様性と湿地の保全に関する世界NGO会議」です。日韓を中心としたNGOと各大陸のWWN代表委員が集まり、CBDとラムサール条約の事務局も参加して報告や討議を行い、湿地NGOの担うべき課題、条約への取り組み方を明確にすることができました。

世界NGO会議
「世界NGO会議」に参加した湿地関係者(10月24日)


●ブース展示とワークショップ
 COP10期間中に野外で行われた展示イベントでは、松川浦、三番瀬、吉野川河口、長島、諫早、球磨川河口、泡瀬の7団体が共同でラムネットJのブースを出展し、パネル展示を行いました。また、ラムネットJはCBD市民ネットの水田、湿地部会としてもブースを出展しました。 10月11・12日には水田部会ブースにおいてワークショップ「ミミズコンポストプロジェクトと土中の微生物の多様性」を実施。参加者はミミズを使ったコンポストの手入れなどを実習し、この様子はテレビで放映されました。

●農業と湿地のフォーラム
フォーラム

フォーラム「日韓を中心とした湿地と生物多様性に関するホットイシュー」(10月22日

 10月22日には、CBD市民ネットの水田・湿地部会と共同で、農業と湿地をテーマにした2つのフォーラムを開催しました。
 農業のフォーラム「生物多様性が地域・農業を元気にする」では、アジアの伝統的で持続可能な農業が、生物多様性の保全と地域の人々の健康な暮らしに貢献してきているという事例などが報告されました。
 また、湿地のフォーラム「日韓を中心とした湿地と生物多様性に関するホットイシュー」では、泡瀬や諫早、長島など危機にある日本の湿地や、韓国の四大河川整備事業の問題などが報告されました。

●ポジションペーパー
 ラムネットJでは、湿地の生物多様性の保全に関する見解をまとめたポジションペーパー「生物多様性の保全と賢明な利用を目指して」を公表し、会場で配布しました。このパンフレットはラムネットJのウェブサイトからダウンロードできます。
(安藤よしの、柏木実、矢嶋悟)

(ラムネットJニュースレターVol.5より転載)

2011年04月22日掲載