報告:ラムネットJ シンポジウム in 沖縄「湿地保全と私たちの社会」

 ラムネットJは泡瀬干潟を守る連絡会と共同で、シンポジウム「湿地保全と私たちの社会」を6月28日に沖縄市農民研修センターで開催しました。このシンポジウムでは、公金支出差し止め判決が出たにもかかわらず、埋め立て事業が止まらない泡瀬干潟の問題に注目しながら、第1部では訴訟やアセスメントなどの社会制度を検証すること、第2部では環境活動における若者の社会参加について考えることをテーマとしました。

■第1部 無駄な公共事業と環境アセスメント─泡瀬から変えよう!

 第1部では、まず連絡会共同代表の小橋川共男さんが、泡瀬の豊かな海草藻場が事業者による移植実験で破壊されてしまったことや、潮流の変化によって藻場が砂で埋まってしまったことなど、着工以降の環境の悪化をスライドで示しながら報告しました。続いて連絡会事務局長の前川盛治さんが、泡瀬の新たな事業計画は観光客数や商業施設需要の過大な予測を元にした合理性のないものであることを指摘。環境への配慮を欠いているだけでなく、津波対策など防災にも問題点があると訴えました。
 ラムネットJの堀良一共同代表は、弁護士として博多湾人工島埋め立てや諫早湾干拓の訴訟に関わってきた経験から、裁判での追及と同時に、法廷外での運動やロビー活動なども積極的に展開することの重要性を強調しました。
 大阪大学大学院法学研究科の大久保規子教授は、立地段階での戦略的アセスメントや事後調査の義務付けといった最近のアセスメント法の改正内容について解説。住民訴訟の活用などで環境訴訟が増えてきたものの、市民やNGOがもっと裁判に参加しやすくなるよう、その権利を保証するオーフス条約の原則を日本にも導入する必要があることを指摘しました。

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2011年6月28日に沖縄市農民研修センターで開催

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このシンポジウムはインターネットで生中継し、第2部ではツイッターを使った質疑応答も行われました。録画はラムネットJのウェブサイトで公開しています

■第2部 ユースの力で変えよう!環境活動─Good Practice from OKINAWA

 第2部はラムネットJ理事の原野スキマサさんと事務局の宇田川飛鳥さんによる進行で、環境活動に取り組んでいる3人の若者とのディスカッションが行われました。
 広島県の岡田和樹さんは、高校卒業後に竹原市のハチの干潟の保全活動に取り組み、市民の半数を超える署名を集めて埋め立て計画を撤回させました。その後も上関原発の反対運動に参加するなど、瀬戸内海の地元住民や若者と連携した活動を続けています。
 沖縄市議会議員の桑江直哉さんは、泡瀬干潟の保全を公約に掲げて、昨年9月の市議会議員選挙でトップ当選。活動を楽しみながら問題に立ち向かう住民運動という場が自分を育てたとのことです。
 辺野古、高江、泡瀬、諫早、高尾山、八ッ場など各地の問題に幅広く関わっているミュージシャンのKEN子さんは、ブログやツイッターを活用して、自分がメディアになって発信し、全国の人とつながっていくことが大切であると語りました。また、会場からの質問に、桑江さん、KEN子さんとも、若い人の感性を信じて仕事を任せることが大事だと答えていました。(矢嶋 悟)
(ラムネットJニュースレターVol.7より転載)

2011年11月22日掲載