湿地巡り:中津干潟(大分県)

水辺に遊ぶ会 足利由紀子

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 福岡県豊前市から大分県の国東半島のつけ根まで、周防灘に断続的に続く豊前海干潟。そのほぼ中央、中津市沿岸の総延長約10km、沖合3km、面積1345haの干潟に「中津干潟」と勝手に名前をつけてから14年になります。それまで無名だった干潟は、おかげさまで随分メジャーになりました。干潟にちょっと足を踏み入れると、せわしく動き回る無数のカニたちやカブトガニの姿を見ることができ、中津干潟はまさに生命あふれる場所だと実感しますが、地元の年配の方や漁業者の方たちは「アサリが掘れなくなって、ヘドロがたまった海はいらない。埋めてしまえ」と言います。「とってん、とってん、アサリがわいてきよった」という言葉が表すように、昔の中津干潟はもっともっと素晴らしかったのでしょう。それでも、"生息する生物の約35%が希少種"の中津干潟ですから、今の状態をなんとか維持しつつ未来に残していきたいと思いながら保全活動に取り組んでいます。活動の目標は「海と人の心の距離」を取り戻すこと。たくさんの人に中津干潟を好きになってもらい、身近に感じてもらうことが、保全に向かう力になると考えています。

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 主な活動は、(1)自然観察会や教育現場での環境学習のサポートなどを通じた啓発活動、(2)「市民の手による学術レベルの調査」をモットーとした調査研究活動、(3)海岸清掃と漂着ごみ調査を通じた、廃棄物ゼロ社会への啓発活動、(4)オリジナリティに富んだ漁業体験活動、(5)海と水辺の郷土史の調査、(6)沿岸域の利用と保全のための合意形成会議の推進、(7)情報発信、などなど。無理なく楽しく、時々シビアに......。地に足をつけた活動の輪は少しずつですが地域に広がっていると感じる毎日です。

ラムネットJニュースレターVol.8より転載)

2012年02月29日掲載