ラムサールCOP11での水田関連の活動
ラムネットJ共同代表(ラムネットJ水田部会) 呉地正行
水田関連の活動は次の3つに分けられます。
1)ポスターブース
ラムネットJ構成団体のNPO田んぼと(株)アレフが展示を行いました。NPO田んぼは、田んぼの生物多様性をアピールし、それに関する資料の展示配布も行って、参加者の関心を惹きました。(株)アレフは、アレフ自身のふゆみずたんぼの取り組みや、社員合作の「ふゆみずタンゴ」の歌と踊りも披露しました。
ポスターブース(アレフふゆみずたんぼプロジェクト)
サイドイベント(水田の生物多様性向上)
2)サイドイベント
7月7日の夕方に、韓国水田湿地ネットワークと共催し、日本国環境省と農水省、FAO、JICAの後援を得て、「湿地生態系としての水田の生物多様性向上」を開催しました。70名余りが参加し、日韓以外に、ヨーロッパ、アフリカ、南米、中東からの参加者もあり、生物多様性の向上に配慮した農法が、持続可能な水田農業に不可欠であることを確認しました。また、ラムネットJが環境省から委託されCOP11用に作成した、「日韓及びアジア諸国における水田生態系の生物多様性向上優良事例・COP11報告書」のお披露目も行いました。報告書(687頁)のファイル入りCDを参加者に配布しましたが、EU関係者からは高い評価を受け、決議文にこの報告書が盛り込まれる契機になりました。
3)本会議での、水田関連決議(Ⅺ.15)に関わる活動
ラムネットJが委託を受け作成した水田レポート(右)と、それが引用された決議案XI.15(左)
今回の最大の課題は、条約事務局STRP(科学技術検討委員会)が提案した、決議案Ⅺ.15「水田と殺虫剤使用」でした。当初案は生物多様性の視点を全く欠き、手続きにも問題が多く、COP10で日韓共同で提案し、採択された決議X.31(水田の生物多様性の向上)の理念を著しく損なう恐れがあるものでした。それに対して私たちはその取り下げや根本的な修正を求める活動とその支援をCOP11前から行ってきました。本会議ではまずSTRPから決議Ⅺ.15の趣旨説明がありましたが、提案した委員はCOP11への参加が拒否され、その代わりに委員会副議長が行うという異例の出来事もありました。その後、この決議案に対して日本政府を含め、15の国から大幅な修正を求める意見が出されました。意見の多くは日本政府の考えと重なるもので、これとは別にEUは、独自のドラフトも提案しました。これらの大幅な修正作業を経て、決議のタイトルも、「水田と殺虫剤使用」から「水田と害虫抑制」に変わり、内容も全面的に修正され、納得がいく「別の決議」に生まれ変わり、その中に私たちの報告書名が、盛り込まれるという予期せぬうれしい出来事もありました。
(ラムネットJニュースレターVol.10より転載)
2013年02月18日掲載