2013年への期待〜泡瀬をはじめとした沖縄の環境問題〜

泡瀬干潟を守る連絡会 前川盛治

 2012年は、絶滅危惧Ⅱ類フジイロハマグリや神秘的なウミエラの生息地が破壊される浚渫工事の強行、6月の県議会選挙では野党が前進したものの泡瀬埋め立ての県予算を削除できなかった等、厳しい年でした。せめてもの救いは、予定されていた新港地区東埠頭の浚渫、その土砂を泡瀬埋め立て地に空気圧送船で投げ捨てる事業がまだ行われていないことです。
 2013年は、自民党・公明党の連立政権の誕生、「強靭な国家づくり」「公共事業のバラマキ」で消費税増税分が公共工事にも使われ、国中で環境破壊が進むなど厳しい年になりそうですが、進行中の第二次泡瀬訴訟で勝利できれば、泡瀬埋め立て中止の展望が開け、光も見えてきます。裁判勝利を大きな目標にして、共に奮闘しましょう。

泡瀬干潟の浚渫工事に抗議する筏
泡瀬干潟の浚渫工事に抗議する筏(写真:安部真理子)


 ところで、うれしいニュースが昨年の大晦日に飛び込んできました。「泡瀬干潟で新種クモ(アワセイソタナグモ)発見、水没生活は世界初」という琉球新報の記事です。これまでも泡瀬干潟では水没生活をする極めて珍しいヤマトウシオグモの生息も確認されていましたが、イソタナグモ属の水没生活は世界初とのことです。私たちがこれまで主張してきた「泡瀬干潟は世界の宝、生物多様性の宝庫、経済合理性のない無駄な公共事業で貴重な泡瀬干潟・浅海域を破壊するな、子々孫々まで残そう」が正しかったことを再び証明する貴重な発見です。これを励みに、なお一層、泡瀬干潟を守る運動を強化していきたいと思います。
 2002年、埋め立て工事が着工されてからこれまでの10年間で発見された新種は、オキナワキチヌ(魚類)、アワセヒガタツバサゴカイ(ゴカイ)、ザンノナミダ(貝)、ヒメメナガオサガニ(カニ)、リュウキュウズタ(海藻)、ニライカナイゴウナ(貝)、カラクサモク(海藻)、ホソウミヒルモ(海草)、ミル属の一種(海藻)、アワセカニダマシマメアゲマキ(貝)、ユンタクシジミ(貝)と、何と12種になります。アメリカなどでは、新種が一つ発見されただけで工事はストップです。日本は「環境後進国」であり、恥ずべき「経済先進国」です。

2012年度の泡瀬仮航路建設のための浚渫で破壊されたウミエラ
2012年度の泡瀬仮航路建設のための浚渫で破壊されたウミエラ(写真:小橋川共男)

2005年の発見に次いで2012年に再発見されたフジイロハマグリ
2005年の発見に次いで2012年に再発見されたフジイロハマグリ(写真:屋良朝敏)

 さて、沖縄では泡瀬埋め立て以外にも自然を破壊する工事(辺野古米軍新基地建設、高江米軍ヘリパット建設、浦添西海岸での米軍港建設、那覇大嶺海岸での那覇空港新滑走路建設等)が進行中です。環境省が奄美・琉球諸島を世界自然遺産に登録しようと進めているのに、それに相反する計画が目白押しです。土建業者の仕事をつくるため、米軍のためなら自然破壊を平気で行うというこの日本(沖縄)の現実を変革していくことが大きな課題です。2月23日に東京で開催する「沖縄大問題シンポ」を成功させましょう(シンポの詳細は4ページ参照)。
 泡瀬干潟を守る連絡会では、新政権への新たな要請、そのための新たな署名行動も提起しています。全国の仲間のご支援・共同の闘いをお願いします。
ラムネットJニュースレターVol.11より転載)

2013年02月27日掲載