CBD/COP12サイドイベントで「カンジョン・高江・辺野古共同宣言」を採択

 ラムサール・ネットワーク日本では、韓国・ピョンチャンでの第12回生物多様性条約締約国会議(CBD/COP12)において、2014年10月9日に、サイドイベント「沖縄島と済州島での軍事基地建設による島の生物多様性に対する脅威」を関係団体と共同で開催しました。そのサイドイベントにおいて、下記の「カンジョン・高江・辺野古共同宣言」が採択されました。



[カンジョン・高江・辺野古住民共同宣言文]

軍事基地建設によって島の生物多様性が脅威を受けている!

脅威を受けている島の生物多様性

 今、この瞬間も、韓国の済州島と日本の沖縄島では、住民たちの意見を黙殺したまま新しい軍事基地が建設されている。済州島カンジョン村では大規模な海軍基地の建設によって、独特な溶岩地形であり地質学的価値がある絶対保全区域であったクロムビ岩が破壊され、カンジョンの沖合の美しいソフトコーラルなどさまざまな絶滅危惧海洋生物が脅威にさらされている。済州の海軍基地の沖合はUNESCO生物圏保全地域を含み、韓国政府によって天然記念物として保護を受けている場所である。また、基地建設によってすでに沿岸漁業では否定的な影響を受けていると海女や漁民らが証言している。

 日本の沖縄では新しい米軍基地建設によって、サンゴと海草が豊かな辺野古と大浦湾の埋立計画を推進中で、現在陸上部の工事と沿岸部のボーリング調査が進められている。この地域はIUCN(国際自然保護連合)が指定した絶滅危惧哺乳動物であるジュゴンの重要な生息地でもある。沖縄の人々にとってジュゴンは伝統的、文化的な意味を持つ動物である。また、沖縄島北部の高江は独特な亜熱帯性の森林地域「やんばる」にあるが、このやんばるの森には巨大な米国海兵隊の北部訓練場がある。やんばるの森は国際的に重要で保護地域にすべきと評価されており、特別天然記念物のノグチゲラ、天然記念物のヤンバルクイナ以外にも多様な生物が生息している。ここはすでに軍事訓練による耐え難い騒音や墜落の不安におびやかされているにもかかわらず、さらに新しい6つのヘリパッド建設に着手している。

高江と辺野古の新基地建設・済州海軍基地建設を中止せよ!

 2014年国際生物多様性の日のテーマは「島の生物多様性」である。島とその周辺の海は川と森につながる独特の生態系を持っている。島と海岸地域で進められる様々な開発事業は自然環境を大きく変化させ、生物多様性も傷つけている。特に軍事基地の建設とその運用は該当地域の住民たちの生活の根幹を揺るがす大きな脅威となっている。

 済州海軍基地建設事業、辺野古と高江の新基地建設事業は住民たちの涙を踏みつけて建設されている。住民の同意のない基地建設、海洋生態系の破壊は韓国と沖縄で同時に起こっている。生命のない平和はありえず、平和のない生命もありえない。

 済州カンジョンと辺野古、高江の軍事基地は海や山によって生きてきた住民たちの生きる方法を破壊し、住民と共に生きてきた生態系も傷つけている。

 私たちは、生活の拠り所であり生命の宝庫である美しい島、沖縄と済州が軍事基地建設によって脅威を受け傷つけられることを、決して望まない。絶滅危惧種と保護区域の指定だけでなく実質的な保護が重要である。高江と辺野古の新基地建設、済州海軍基地建設は中止されなければならない。


2014年10月9日 CBD COP 12 サイドイベント
「沖縄島と済州島での軍事基地建設による島の生物多様性に対する脅威」参加者一同

【韓国】
カンジョン村会
済州島海軍基地阻止と平和の村の実現のための全島民対策委員会
済州島海軍基地建設阻止のための全国対策会議

【日本】
ヘリ基地反対協議会
ヘリパッドいらない住民の会
沖縄平和市民連絡会
沖縄環境ネットワーク
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団
ラムサール・ネットワーク日本
UNDB市民ネットワーク

2014年10月17日掲載