湿地巡り:コムケ湖(北海道)

もんべつかいはつくらぶ代表 大館和広

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 コムケ湖は北海道の北東、最北の宗谷岬から知床岬まで続くオホーツク海岸の中間にある面積5km2程の小さな湖です。コムケ湖とはアイヌ語地名の「曲り沼」のことで、3つに分かれた水域の湖岸は曲がりくねり複雑に入り組んでいます。人工的に海とつなげられているので潮汐の影響を受け、湖内には広く干潟が出現します。干潟の一部にはアッケシソウ(サンゴソウ)群落が発達し、秋になると深紅の絨毯(じゅうたん)を広げたような独特の美しい景観で訪れる人を魅了します。
 コムケ湖には多くの渡り鳥が渡来し、特にシギチドリ類は日本でも有数の渡来地です。秋と春に干潟に群れるシギはトウネンが多く、秋は最大1000羽、春は2000羽の群れが見られますが、ここ数年は観察数が減少しています。原因は不明ですが天候不良の影響が大きいと思われます。
 毎年見られていたヘラシギもここ数年は観察できないのは残念ですが、たくさんのシギチドリ類が群れる干潟をこれからも大切にしていきたいです。
 ガンカモ類はオオハクチョウの渡来数が増え、2015年秋には9000羽をカウントしました。またヒシクイは2016年秋に2000羽をカウントし年々増加傾向です。こちらも増加理由はよくわかりませんが、ハクチョウやガンの食性の変化があるのかもしれません。

コムケ湖のサンゴソウ
コムケ湖のサンゴソウ
6月の湿原観察会
6月の湿原観察会

 オホーツク海岸は北にクッチャロ湖、南に濤沸湖のラムサール条約湿地があります。2つの湖の中間地点にエアポケットのように取り残されてしまったコムケ湖をラムサール条約湿地にしようと私たちは活動しています。春と秋に行っている自然観察会は、養成したコムケ自然ガイドが多くの市民を案内します。また毎年12月から1月にかけて流氷科学センターの協力を得て、「コムケの自然写真展」を開催し多くの人へのPRに努めています。
 「オホーツク・ラムサール街道」構想実現のために、コムケ湖を少しでも早くラムサール条約湿地にするために今後も活動を続けて行きます。

ラムネットJニュースレターVol.26より転載)

2017年02月25日掲載