湿地のグリーンウェイブ2017イベント報告 和白干潟で潮干狩り
ウエットランドフォーラム代表/ラムネットJ理事 松本 悟
博多湾内は、福岡市が埋め立て事業に伴う漁業権の買い上げを行ったため、潮干狩りは誰でも自由にできます。和白干潟も4月〜5月の干潮時には多くの人でにぎわいます。潮干狩りをする人の意識は、昔の「食の糧」から「春の海のレジャー」に変化しています。
潮干狩りと干潟の環境保全についてレクチャー
春うらら......和白干潟で潮干狩り
この潮干狩りイベントは、資源保護のための「3cm以下のアサリは取らないでください」という規則を知ってもらうことと、干潟に触れあってもらうための啓発活動として実施しました。前半では、アオサの発生とアサリの減少との因果関係について研究者が解説をしたり、昭和30年〜50年代のノリ養殖をしていた頃や海水浴場だった頃の様子などを地元の方が紹介しました。後半の潮干狩り体験は、チーム対抗戦で1時間のアサリ収穫量を競いました。親子連れ、高校生、福岡在住の外国人の方々などが、愉快なチーム名をつけて頑張りました。初めて潮干狩りをする方が多くて苦戦したチームもありましたが、晴天の干潟で春の海風に吹かれて、自然や生きものに触れあうことが最高の経験になったようです。
楽しみながら干潟に触れ、恵みを受け取る。そして干潟を知り、干潟を守る。そんな「ラムサールの心」が通いあうような有意義な潮干狩りになりました。
160万都市の中に残された和白干潟。漁業は消え、干潟のエコシステムは分断され、渡り鳥も激減していますが、まだまだ自然が残り、生きものもたくさんいます。今こそ「都市型の干潟」としての魅力、そして保全の未来像を創り出さなければなりません。
昭和31年の和白干潟のノリ養殖の様子。裂いた竹を立てる方法からノリ網方式に変化する頃。漁船も漁民も多いことがよくわかる(提供:朝日新聞社)
●和白干潟で潮干狩り
主 催:ウエットランドフォーラム
日 時:4月23日(日)
13:00〜16:00
場 所:和白干潟
(福岡市・博多湾東奥部)
参加者:95名(29チーム)
スタッフ6名 計101名
(ラムネットJニュースレターVol.28より転載)
2017年08月25日掲載