泡瀬干潟、辺野古からの緊急報告
泡瀬干潟を守る連絡会/ラムネットJ共同代表 前川盛治
■泡瀬干潟における藻の大量発生、絶滅危惧種の貝の大量死
泡瀬干潟では、今、藻(アオノリ、アオサ等)の大量発生と、それが原因と思われる貝類(絶滅危惧ⅠB類を含む)の大量死が問題になっている。3月30日の観察会の事前調査の時、ホソエダアオノリが干潟を覆い尽くしていた。その後4月〜5月にかけて貝類の大量死が目立ち始め、私たちは、そのことを5月25日に記者会見で明らかにした。
死滅した絶滅危惧種のカテゴリーと個体数は、カワラガイ(準絶滅危惧、525)、ニッコウガイ(絶滅危惧ⅠB類、256)、ユウカゲハマグリ(Ⅱ類、104)、ジャングサマテガイ(ⅠB類、64)、リュウキュウアサリ(Ⅱ類、40)等で、種数は40種以上、個体数は1844以上である(個体数の調査は山下博由氏による)。本当に大変な状況である。
私たちは、その原因は、和白干潟のように、泡瀬干潟が出島方式で埋め立てられて閉鎖海域になり、富栄養化して、藻の大量発生が起こり、干潟の無酸素状態、光の不足が起こって貝類が死滅したと推測している。原因の解明と対策を沖縄県や国・沖縄総合事務局に要請したが、積極的な回答は得られなかった。今後の大きな課題である。
ホソエダアオノリに覆われた泡瀬干潟
死滅した泡瀬干潟の貝
■メナガオサガニハサミエボシとキクメイシモドキの発見
泡瀬干潟では、メナガオサガニ(カニ)と共生するメナガオサガニハサミエボシ(絶滅危惧ⅠA類、甲殻類)が、4月15日の湿地のグリーンウェイブの観察会で、リュウキュウサルボウ(貝)と共生するキクメイシモドキ(サンゴ)が5月27日の観察会で見つかった。泡瀬干潟の生物多様性の豊富さを示すものであり、極めて貴重である。泡瀬干潟をラムサール条約湿地に登録させ、保全策を強化させなければならない。私たちは、今県が進めている鳥獣保護区・特別保護区の設定作業を、11月1日までに完結させるように強く要請している。
メナガオサガニハサミエボシ
キクメイシモドキ
■沖縄の民意を無視し、強引に進められる辺野古新基地建設
2016年12月の最高裁で、「翁長知事が前知事の承認を取り消したことは、違法である」との判決が言い渡された後、国は2月から汚濁防止膜設置、5月末から護岸工事を強引に押し進めている。翁長知事は、この工事が県知事の岩礁破砕変更許可も受けずに進められていること等から違法であるとして、県議会に「工事差し止めと仮処分」の訴訟を起こすことを提案し、承認されれば7月中旬にも提訴する方針を示している。
国は、辺野古の漁業権は消滅しているから、県知事の岩礁破砕許可を得る必要がないと主張しているが、県知事の権利である漁業権は消滅していないというのが専門家の共通した認識である。また最高裁判決は、承認取り消しに対する判決であり、その後発生した違法工事をやめさせる翁長知事の権利まで否定しているものではない。
私たちは、この訴訟を支援し、さらに翁長知事の「辺野古埋め立て承認撤回」につながる闘いを強化しなければならない。
(ラムネットJニュースレターVol.28より転載)
2017年08月25日掲載