報告:第13回日韓NGO湿地フォーラム/国際NGOワークショップ2018
ラムネットJ理事 陣内隆之
ラムネットJでは、韓国湿地NGOネットワーク(KWNN)および世界湿地ネットワーク(WWN)の共催を得て、5月19日〜20日に石川県勤労者福祉文化会館において、第13回日韓NGO湿地フォーラム/国際NGOワークショップ2018を行いました。前々回からテーマとしている「水の自然な流れを守ろう」の検討を深化させるため、干拓事業による水質悪化問題や流域再生に取り組んでいる河北潟湖沼研究所の協力をいただきながら、金沢市内で開催することとしました。前日には河北潟のエクスカーションも行い、流域をくまなく視察しました。生きもの元気米をはじめとする水辺でのさまざまな活動が活発に行われる一方、汽水化実現への課題も浮き彫りになりました。
エクスカーションで河北潟周辺地域の「生きもの元気米」の田んぼを見学
開会の挨拶をするキム・キョンチョルさん
フォーラム初日は、主に各地からの報告でした。河北潟、琉球諸島沿岸域、韓国4大河川事業、韓国ファソン干潟からの報告は、干拓や埋め立て、ダム・堰などいずれも水の自然な流れを阻む事業の問題です。ファソン干潟では、潮受け堤防の一部を開放して海水導入を図ることで、干潟が復元しはじめていますが、戦闘基地の移転建設や工業団地造成の計画があります。また、10月にUAEのドバイで行われるラムサール条約第13回締約国会議(COP13)では「都市と湿地」がテーマであることから、「東京の川と海〜多摩川と東京都の湾岸・葛西三枚洲」、「都市の水田の多様な機能とそれを活かした未来の街づくり」などの報告も行いました。COP13での葛西三枚洲のラムサール登録を機に、東京湾岸の重要湿地間の連携と保全が図られ、全体がラムサール登録されることが期待されます。
2日目は、COP13に向けた具体的な検討を行いました。COP13に懸かる決議としては、21・9ブルーカーボン生態系の持続可能な管理、21・10ウミガメの繁殖・採餌・生育場の保護と管理を向上させ重要地域を条約湿地とする決議案、21・13潮間帯湿地及び生態学的に連結した生息域の保全と賢明な利用の推進に関する決議案などが注目されます。
「水の自然な流れを守る」プロジェクトでは、サイドイベントやポジションペーパー、ブース展示、プレNGO会議に向けた取り組みについて検討しました。個別事案を掘り下げて、過去の決議やガイドラインの有効性を検証することが重要との判断から、まずは、ポイントとなる過去の決議やガイドラインの読み込み、個別事例の更なる収集、世界における開発による湿地破壊の現状の情報収集を行い、KWNNやWWNとの打ち合わせを密にしてCOP13に臨むこととしました。また、水田関係でもサイドイベントを行うことが検討されています。
7月よりCOP13への参加登録の受付が開始され、具体的な準備も山場を迎えます。みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いします。
5月19日のフォーラムに参加されたみなさん
(ラムネットJニュースレターVol.32より転載)
2018年08月27日掲載