泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の2020年度内の指定を求める件に関する要望書を沖縄県に提出
ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)は、泡瀬干潟を守る連絡会、日本自然保護協会と連名で、以下の「泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の2020年度内の指定を求める件に関する要望書」を、2020年9月11日に沖縄県に提出しました。
2020年9月11日
沖縄県知事 玉城 デニー 様
沖縄県自然保護課長 比嘉 貢 様
泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川共男・漆谷克秀
ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 上野山雅子・金井 裕・
陣内隆之・高橋 久・永井光弘
公益財団法人 日本自然保護協会
理 事 長 亀山 章
泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の
2020年度内の指定を求める件に関する要望書
私たちは泡瀬干潟の保全に長く関わってきた立場から、多くの要望を出してきており、直近では、2020年1月16日に、「泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の設置を求める要望書」を提出しました。
その後、沖縄県は、鳥獣保護区指定区域案(比屋根湿地、泡瀬通信施設先から東側砂洲、埋立地、熱田漁港に至る区域)、特別保護地区指定区域案(比屋根湿地、埋立地の北側及び南側の区域)を示し、2020年2月27日に沖縄市に対し「事前意見照会」を行いました。
沖縄県の「事前意見照会」に対して沖縄市は2020年3月27日に次のように回答しました。(1)鳥獣保護指定区については埋立地、橋梁、航路を除外、(2)特別保護地区指定については、将来的な開発計画の可能性を排除できないため、(陸よりの)比屋根湿地以外の区域の再考、(3)将来的な開発計画の可能性を含め、保護区、保護地区の設定期間を20年から10年程度に短縮する。
この沖縄市の回答には、次の疑問点があります。(1)については 埋立事業を実施している沖縄県が工事続行を前提に指定しようとしているにも関わらず、沖縄市が難色を示す理由が不明です。鳥獣保護地区に指定された際には、狩猟などは禁止されるものの、埋立地内にて沖縄市が今後開発を進めることを含め事業進展には影響がないからです。
(2)の特別保護地区について橋梁北側は、2007年に沖縄市が「埋め立て困難、2区中止」を決定したところです。橋梁南側も現時点で、将来計画はありません。つまり沖縄市は両地域とも、将来的な開発計画を示しておりません。「埋め立て困難、2区中止」とした橋梁北側は、湿地保護の観点から将来的にも開発を進めることを止めた区域です。橋梁南側についても、渡り鳥の中継地として重要な区域です。「将来的な開発計画の可能性を排除できない」などの理由で湿地を保護しないということでは県民・市民の理解は得られないと考えられます。ラムサール条約登録に向けて特別保護地区に指定する場所が比屋根湿地のみでは規模が小さすぎて、生態系の保全や渡り鳥の中継地としての意義が小さくなることが懸念されます。
7月13日の沖縄県議会一般質問にて、泡瀬干潟のラムサール条約湿地登録について島袋恵祐県議が質疑(泡瀬干潟の価値、沖縄市への対応)を行いましたが、それに対し沖縄県環境部長松田氏は「特別保護地区予定地は、・・シギ、チドリ類の分布状況調査によると多くの分布が確認されている場所・・・泡瀬干潟はクビレミドロ、トカゲハゼの生息やムナグロの全生息数の1%以上の生息などが確認されていることから、国により日本の重要湿地500及びラムサール条約湿地候補地に選定されております。特別保護地区指定の理由等を沖縄市に丁寧に説明しまして、沖縄市の理解が得られるよう取り組んでまいりたいと考えております。」と答弁しています。
私たちは以上の経過から表記の件に関して以下のことについて説明を求めます。
- 7月13日の県議会での答弁のあと、沖縄県は沖縄市にどのような説明をし、理解が得られるようにしたのか、説明いただきたい。
- 沖縄市への今後の対応についての予定を伺いたい。
- 2021年11月(予定)に開催されるラムサール条約の次回の締約国会議(COP14)にて登録されるためには、遅くとも2020年内に泡瀬干潟の鳥獣保護区(特別保護地区)の指定が終了し、環境省が国の鳥獣保護区特別保護区域に指定しなければなりません。故翁長雄志知事、玉城デニー知事は、早期の指定実現に取り組むと県議会で約束しています。現在の進捗状況で、2020年度内の指定は可能かどうか、見解を明らかにしていただきたい。
以上
*上記文書のPDFファイル
2020年09月11日掲載