ヘラシギ国際シンポジウム報告
ラムネットJ事務局長 後藤尚味
2021年11月21日、「ヘラシギが集う球磨川河口を目指して」国際シンポジウムを熊本県八代市の会場とオンラインのハイブリッドで開催しました。参加者31名(うち会場6名)。
第1部の基調講演「ヘラシギとはどんな鳥? 現状と渡り」では、ラムネットJ理事の柏木実さんが希少種ヘラシギのフライウエイ全体から置かれた状況と保全の概要を発表しました。
第2部の「世界の渡り」では、ロシアからパヴェル・トムコヴィッチさんとエレナ・ラッポさんが繁殖地、中国からジン・リーさんが中継地、そして、バングラデシュからサヤム・チョウドリーさんが越冬地のそれぞれの様子を10分にまとめた動画を上映しました。
八代市の会場
オンラインの画面
第3部の「日本各地からの報告」では、4名からご報告を頂きました。まず、八代野鳥愛好会の高野茂樹さんが熊本県に飛来した鳥の観察調査記録(1970年~)を基に傾向を分析し、2009年以降ヘラシギは観察できていないことを報告しました。次に、日本野鳥の会石川県支部の中村正男さんが、石川県の野鳥年鑑の調査記録を基に飛来数を報告し、餌となるナミノリソコエビの分布とヘラシギの目撃箇所の相関を報告されました。続いて、ラムネットJ会員の西井やよいさんから、瀬戸内海に突き出た岡山県の玉島ハーバーアイランドで観察されたヘラシギの様子と進行中の開発計画や代替湿地確保に向けた市民活動についてお話しいただきました。最後に、ふくおか湿地保全研究会の小山内朝香さんから、2017年と2021年にヘラシギが目撃されたポイントの環境状況と変化、今後の保全と啓発に向けた取り組みについてのお話をしていただきました。
第4部の「球磨川河口にヘラシギが集まってもらうために」では、高野茂樹さんと柏木実さんを中心にクロストークを行い、これからも渡り鳥の中継地の保全活動を支えるための環境改善、普及啓発、政策提言を継続的に進めていこうという意思を確認しあって閉会しました。
(ラムネットJニュースレターVol.46より転載)
2022年02月04日掲載