報告:サンゴ礁ウイークオンラインイベント 2022年トークリレー
ラムネットJ事務局長 後藤尚味
写真:小橋川共男
サンゴ礁は世界的に危機に瀕している状態にあります。毎年3月5日のサンゴの日前後はサンゴ礁ウイークと呼ばれ、サンゴ礁保全にかかる活動が各地で行われます。ラムネットJでは3月10日に日本自然保護協会との共催によるオンラインでのトークリレーを、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会とパタゴニア日本支社からの後援をいただいて開催しました。(参加者数62名)
琉球列島の石垣島、久米島、奄美大島瀬戸内町、泡瀬干潟(沖縄島)、恩納村(沖縄島)の4つの島、5つの現場をつなぎ話題提供をいただきました。
■「僕らの海の守りかた」ユニスク 内藤明さん
石垣島と西表島の間にある石西礁湖のサンゴ礁を守るために、地元の人を中核とした取り組みを実施。漂着した折れサンゴの移植、陸上から流出する赤土を防止するための植樹、ユース向けの体験型教育プログラム、そして、独自の技術とノウハウを駆使したイルカ・クジラの調査や流速・流量調査などを行っている。
■「久米島漁協のサンゴ礁保全の取り組みについて」久米島漁協 伊関ありささん
久米島の産業はマグロ漁、モズク養殖、アーサ養殖などが盛んだが、大雨の後など、大量の赤土が海へ流出し、海の生態系への影響が大きい。サンゴ再生のために漁協で部会を立ち上げ、モニタリングしながらサンゴ畑を育てている。地元の若者を対象に体験学習を提供。みんなが笑っていられる未来のために保全活動を続けていきたい。
■「瀬戸内町海を守る会の活動について」瀬戸内町海を守る会 祝 隆之さん
守る会はダイビング事業者から成り、ダイビングやスノーケリングの船がアンカーを下ろさないで済むように36か所の係留ブイを設置して、サンゴ礁の保全につなげている。2001年の安脚場沖のオニヒトデの大量発生以降、再生の過程をモニタリングしている。サンゴに絡まったロープ、漁網などゴミの撤去活動で集めたゴミ量は2トン車にいっぱいになる。ごみ処理費用は水産観光課が負担してくれている。
■「泡瀬干潟を次世代に継承する取り組みについて」沖縄国際大学 砂川かおりさん
泡瀬干潟は沖縄の東側の中城湾にあり、海草が豊かな場所であったが、人工島の建設により環境の変化が起こった。干潟を知ってもらうため、潮干狩りや伝統的手法でタコ獲りなどを行っている。コアジサシの営巣地でもあり、観察会、成果の英語発信、デコイ・ワークショップなどを実施している。現在EAAFPへの参加を模索中。
■「恩納村のサンゴ礁保全の取り組みについて」沖縄ダイビングサービスLagoon池野正一さん
サンゴの植え付けプログラムをダイビング体験の一貫として組み入れている。砂地に鉄筋を刺し、その先端にサンゴを植え付けて増やす(ひび建て式養殖)。参加者には、今サンゴ礁に何が起きているのかを学んでもらうことから始めている。国連グリーン・フィンズに準拠。
この記録動画はYoutubeでご覧いただけます。https://youtu.be/y8s9uK_hlFA
(ラムネットJニュースレターVol.47より転載)
2022年05月01日掲載