国内外の87市民社会団体が米連邦議会議員へ書簡を送付──辺野古・大浦湾の保護と軍事基地建設の中止を求めて
Okinawa Environmental Justice Project 吉川秀樹
2022年9月7日、国内外の87市民団体が、米国連邦議会上院・下院軍事委員会の32議員へ書簡を送付しました。書簡は、沖縄の生物多様性豊かな辺野古・大浦湾で行われている新基地建設の中止と、その新基地建設の理由となっている米軍普天間飛行場の閉鎖を求めるものです。書簡の送付は、沖縄の地元紙だけではなく、米国の有力調査報道メディアThe Interceptも大きく取り上げてくれました。
今回の書簡送付に関するThe Interceptの報道
書簡は、昨年11月の玉城デニー沖縄県知事による辺野古新基地設計変更の不承認を踏まえて作成されたものです。米政府になかなか伝わってこなかった、軟弱地盤や基地建設による環境への影響ついての日本政府の調査や米政府への情報提供の問題を浮き彫りにしています。また普天間飛行場における、落下物/墜落、騒音、PFOA/PFOSの問題を指摘し、なぜ普天間飛行場の一刻も早い閉鎖が必要なのかを訴えています。そして日米政府の主張する「辺野古が唯一の解決策」が成り立たないことを説明しています。
87市民団体には、沖縄の平和、環境、人権の市民団体をはじめ、ラムサール・ネットワーク日本のような国内の環境団体が含まれます。また米国のアジア系労働者の労働運動を率いてきたAsian Pacific American Labor Alliance、米国最大規模の女性平和団体であるCODEPINK、そして米国における「ジュゴン訴訟」の原告Center for Biological Diversityなど連邦議員に影響力を持つ米国の団体も賛同しています。賛同の呼びかけが2週間足らずでも、数多くのそして多様な団体が賛同してくれたことは、市民社会がさまざまな立場から辺野古新基地建設の中止を望んできたことを反映していると言えるでしょう。
埋め立て工事が強行されている辺野古の新基地建設現場(写真:沖縄ドローンプロジェクト)
基地建設に反対して連日行われている抗議行動
32名の連邦議員は、軍事問題に加えて、他の委員会や会派を通して、環境保護、海洋保護区の設置、航空機騒音の問題、PFOA/PFOSの問題に取り組んでいる議員です。日本の国会を基準にすると、どうしても議会軍事委員会は行政の国防総省の政策を追従、支援するものというイメージになると思います。しかし米国においては三権分立がより明確であり、軍事委員会も国防総省のチェック機関として機能しています。書簡では、同議員らが米国内での取り組みで示してきた誠意と決意で、自らの知識と経験を生かして、辺野古新基地建設の中止と普天間飛行場の閉鎖に向けて取り組むことを期待する、と訴えています。
なお書簡送付後も、海外の団体の要請で賛同募集を継続することになりました。10月10日現在で、100団体そして21名の米国州議会や自治体議会の議員が賛同。この動きをもとに、まずは軍事委員会の公聴会で、軟弱地盤の問題を取り上げてもらえるように米国の団体と協力して取り組んでいます。ラムサール・ネットワーク日本の皆さんにも引き続き注視、応援いただけたらと思います。
(ラムネットJニュースレターVol.49より転載)
2022年11月17日掲載