久米島プロジェクト実施報告:「ホタル館周辺の生き物調査」と「リーフチェック・チームリーダー&チーム科学者養成講座」
ラムネットJ事務局長 後藤尚味
ラムネットJは、2022年1月よりパタゴニア環境助成を受けて、ラムサール条約に基づく湿地の保全、再生、賢明な利用の促進とCEPAプログラムの実施として、年間を通じて、複数の事業を沖縄県の久米島で実施・展開しています。ラムネットJニュースレター第47号で報告した通り3月に「サンゴ礁ウイーク・オンラインイベント・トークリレー」を開催しました。
●ホタル館周辺の生き物調査
8月11日の山の日には、久米島ホタルの会と共催で、親子で参加する「ホタル館周辺の生き物調査」を開催しました。親子ともに、小川や池に入って夢中になってヤゴやゲンゴロウを捕まえました。ホタル館の館長で講師の佐藤文保さんに、捕獲した生き物を同定していただくとともに、久米島には世界的に重要と認められたラムサール条約湿地があることを教えていただきました。最後にショウブの葉で包んだ「脱プラお弁当」を一人ずつ配布して解散しました。
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ショウブの葉で包んだお弁当
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水の中の生き物を探す親子
●リーフチェックの人材養成講座
10月4日~6日には、久米島の漁業者とダイビングショップの方々を対象として「リーフチェック・チームリーダー&チーム科学者養成講座」を開催しました。当初10名だった受講者が、直前に骨折やコロナ感染等で欠席者が出て5名になりました。3日間かけて実施された講座は、半日室内、半日屋外で行いました。
初日の開会時には、後援の久米島町から副町長の中村幸雄さんに開会の挨拶をしていただきました。また、協力団体の久米島観光協会からは上原一晃さんに挨拶と資料準備、動画撮影の協力をいただきました。共催の久米島漁業組合からは伊関亜里砂さんに現地カウンターパートとして、船・タンクの手配、ダイビングのガイド等あらゆる手配の協力をいただきました。講師はラムネットJ理事の安部真理子さん、そしてアシスタントは、「自然体験実技講習専門課じーぐる」の桐本香織さんに務めていただきました。
屋内では座学がメインでしたが、床の上に細長い紙を広げて、その上にさまざまな種類の生き物の写真を貼り付け、また立体的な貝殻やサメのぬいぐるみ等を配置して、その紙の上を海底と見立てて、リーフチェックを模擬的に行うなどの工夫をしました。座学では元気のない受講生も、海に出るとまさに水を得た魚。生き生きと海の中での作業をこなしていきました。
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室内でのリーフチェックの学習
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水中での実習の様子
一緒に作業をする中で、普段は獲物を捕る目線でしか海の中を見ていなかった漁業者が、周辺の環境に気づく視点を得たり、同じ海に潜る業種なのに不思議となかったダイビング業界と漁協の交流が生まれたり、うれしい副次効果もありました。
最終日は試験です。午前中に海中で実技試験を行い、午後に筆記試験を行いました。見事に5名とも終了証を手にすることができ、久米島にリーフチェック・チームリーダー&チーム科学者が新たに5名誕生しました。
(ラムネットJニュースレターVol.49より転載)
2022年11月17日掲載