ラムサール賞ワイズユース部門を受賞しました

ラムネットJ理事 呉地正行

 2022年11月5〜13日に、ラムサール条約第14回締約国会議(COP14)が開催されました。主催国は中国でしたが、コロナ政策の影響でオンライン(中国本国)と対面(ジュネーブ)を併用し、実質的な会議は条約事務局があるスイス・ジュネーブの国際会議場(CICG)で対面で行われました。私は釧路でのCOP5以降毎回参加してきましたが、今回はラムサール賞の授賞式参加という記憶に残る会議となりました。

ラムサール賞授賞式でのスピーチ
ラムサール賞授賞式でのスピーチ
今回ラムサール賞を受賞した5名
今回ラムサール賞を受賞した5名

 ラムサール賞はCOP6(1996年)で誕生した、世界の湿地の保全や賢明な利用に貢献した個人、組織、政府の功績を称える賞です。
 COP7(1999年)から、ほぼ3年ごとに行われるCOPの時に授賞式が行われ、今回が8回目。日本人はこれまでに中村玲子、辻井達一のお二人が受賞しています。
 この授賞式は、会議の中で最も目を引くイベントなので必ず参加し、世界にはすごい人がいるものだと感動しながら、会場から壇上の受賞者を見上げていました。
 今回はラムサール賞の中で最もラムサールらしい、ワイズユース(賢明な利用)賞を頂くことができ、大変うれしく、また驚きました。その一方で、これまでのラムネットJとしての活動が国際的に高く評価されたことに対して、とても誇らしく、皆さんとともにこの喜びを分かち合いたいと思います。またこの過程で多くの方の水面下でのご尽力がありました。以下に受賞についての評価の要約を掲載し、これらの皆さんに深く感謝したいと思います。

ラムサール賞のトロフィーと賞状

ラムサール賞のトロフィーと賞状

【受賞評価の要約】ラムサール賞〔ワイズユース(湿地の賢明な利用)部門〕は、湿地の長期的かつ持続可能な利用に大きく貢献したことを表彰するものです。
 ラムネットJ理事の呉地正行氏は、アジア・オーストラリア地域間の渡り経路と渡り鳥の保護に長期的に取り組み、絶滅危惧種の鳥類の回復に貢献したことが評価されています。
 呉地氏は、40年以上にわたり湿地に生息・繁殖する渡り鳥の保護支援に取り組んできました。米国とロシアの研究者と協力して、彼は複数の絶滅危惧種の鳥類の復元を支援してきました。彼の努力のおかげでいくつかの種は一旦日本への渡りが途絶えてしまった後に、再び日本への渡りを復活し始めました。
 彼の最近の研究は、東アジア・オーストラリア地域・フライウェイ沿いの保全活動に焦点を当てています。
 さらに、呉地氏は、湿地での持続可能な農業との共生に貢献したことで称賛されています。彼は、2008年に韓国の昌原で開催された第10回ラムサール条約締約国会議で決議X.31「湿地システムとしての水田の生物多様性の向上」の採択において、起草グループの主要メンバーの一人として尽力しました。
 この決議は、水田を重要な湿地生態系として認識し、農業の実践を通じて、生物多様性保全の主流化に貢献しています。
 呉地氏はまた、水田、特に北日本のラムサール条約湿地である蕪栗沼・周辺水田において、水田の生物多様性の向上に向けた献身的な努力を通じて、決議X.31の実施を支援してきました。

2023年01月30日掲載