ラムサール条約で水田関連の決議に貢献したレベッカ・ドゥクルーズさん死去
2023年5月31日、ラムサール条約事務局のウェブサイトに、1つの訃報が掲載されました。
亡くなったのは、マレーシア在住のレベッカ・ドゥクルーズさん。彼女は1997年から2000年までラムサール条約事務局のアジア太平洋地域調査官を務め、在任中に8カ国の条約加盟を支援しました。さらに、2009年から2012年まで科学技術検討パネル(STRP)の副議長を務めましたが、このとき、水田関連の決議の採択において大きな働きをしました。
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レベッカ・ドゥクルーズさん
写真:ラムサール条約事務局ウェブサイトより
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2012年のラムサールCOP11でラムネットJなどが「水田の生物多様性向上」をテーマに開催したサイドイベント
■決議案「水田と殺虫剤使用」から「水田と害虫抑制」へ
2012年にルーマニアで開催されたラムサールCOP 11において、水田関連の決議案Ⅺ.15「水田と殺虫剤」がSTRPから提案されていました。この決議案は当初、水田における殺虫剤の過剰使用に対処すべきとの内容でした。しかしこの内容は、COP10で日韓が共同提案して採択された決議Ⅹ.31「水田の生物多様性の向上」の理念を著しく損なうもので、さらに、殺虫剤の使用抑制を名目に遺伝子組み換えイネの導入へとつなげようとしている多国籍企業の動きが見え隠れしていました。
日本の政府とラムネットJなどのNGOは、素案提出時から意見を述べてきましたが、それを強くサポートしてくれたのが、当時STRPの副議長だったレベッカさんでした。素案を強引に推し進めようとしていたSTRP議長に代わって、この議決案の修正に尽力したのです。その結果、決議タイトルも「水田と害虫抑制」へと変更され、内容も全面的に修正されたものが採択されました。
こうした一連の動きのなかで、修正案を唱えたラムネットJのメンバーを支えてくれたのがレベッカさんでした。
レベッカさんのご冥福を、心からお祈りします。
(ラムネットJニュースレターVol.52より転載)
2023年08月16日掲載