「渡良瀬プロジェクト」始動します
ラムネットJ事務局長 後藤尚味
ラムネットJは、小山市が事務局を務める「渡良瀬遊水地コウノトリ・トキ定着推進協議会」と協力して「渡良瀬プロジェクト」を実施します。このプロジェクトは渡良瀬遊水地とその周辺の水田において軽微な管理を行って、トキ、コウノトリをはじめとする生物の多様性を育む環境を創出すると同時に、コミュニケーション・能力養成・教育・参加・普及啓発(CEPA)を通じて、湿地の重要性を周知することを目的とするものです。2023年から2025年までの3年間実施し、その後7年間、湿地のモニタリングを継続して状況を報告します。
プロジェクトは、「コウノトリ生息地管理」「農家との連携」そして「CEPAプログラム」の3つの柱から成ります。
渡良瀬遊水地の活動場所の下見 小山市役所での記者発表
渡良瀬遊水地の活動場所の下見
1 コウノトリ生息地管理
主に第二調節池エリアを、国土交通省が掘削した後に、小型の掘削機を用いた軽微な管理活動を継続的に行います。トキやコウノトリの餌となる多様な生き物が繁殖できるように表面に凹凸を付けたり、大雨が降った後にたまった堆積物を取り除いたりして、乾燥を防ぎます。
2 農家との連携
第二調節池の周辺に広がる水田は、コウノトリの捕食エリアになります。必ずしも、無農薬の農家ばかりではないものの、田んぼの脇にビオトープ(江)を設置してもらうことで生き物の生息数が格段に上がるため、毎年20軒ずつを目標に設置を呼びかけて、最終的には協力農家60軒を目指します。
江の設置の他に冬季湛水「ふゆみずたんぼ」に協力してくれる農家も募集することにしています。3年後には6haの「ふゆみずたんぼ」を目指します。
3 CEPAプログラム
草刈り機のデモンストレーション
加えて、小中学生向けの湿地教育副読本を地元の有識者などに協力を得て1年かけて作成し、地元の全小中学生への配布を行います。第14回ラムサール条約締約国会議では、公教育部門に湿地教育を組み込む決議が採択されたこともあり、国内での学校教育への組み込みは条約の実施に貢献します。
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これらの活動の実施に際しては、グーグルアジアパシフィック社からの支援をいただいています。
(ラムネットJニュースレターVol.53より転載)
2023年11月12日掲載