イベント報告

東日本大震災 現地NGOによる緊急報告会

●開催日:2011年4月30日 10:30~13:30
●場 所:地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)セミナースペース
●主 催:ラムサール・ネットワーク日本
●参加者数:約70名

 4月30日は、もともと水田部会の「国連生物多様性の10年に向けた行動計画づくりワークショップ」を開催する予定でした。ところが、ラムサール条約/CBDの水田決議のリーダーである宮城県の呉地さん・岩渕さん、栃木県の稲葉さんの活動拠点は、3月11日の大震災、その後の原発事故の影響をまともに受けてしまい、スケジュールどおりに動けないどころか、事故直後は本人たちの消息も確かめられないという日が続きました。ラムネットJの推す重要湿地の一つである福島県相馬市の松川浦も震災で破壊されたうえ、放射能汚染問題も加わり、「はぜっこ倶楽部」の活動も厳しい現状です。
 そこで、ラムネットJは、これらの被災地域の緊急報告会として開催し、情報を共有、これからの支援活動を検討することにしました。幸いなことに、報告会前日に新幹線が回復し、ゲストがそろって参加することができました。
 栗原市の呉地さん(ラムネットJ共同代表/日本雁を保護する会)は、震度7の強震に見舞われ「要注意」「立ち入り禁止」の札が貼られた自宅の改修に取り組みながら、歩いていける範囲内で十分に暮らせることや、地域とのつながり、これまでの活動仲間の大切さを強く感じ、「これを機会に、これまでのいわゆる発展を再考し、パンドラの箱を閉じましょう。」と提案しました。
 大崎市の岩渕さんは、自身の被災にもめげず、NPO田んぼとして「RQ市民災害救助センター」のサテライトステーションとなり、より被害の大きかった南三陸町等での活動を始めました。「海と田んぼからのグリーン復興宣言」も提唱するなど、数多くのプロジェクトを開始しています。
 相馬市の松川浦はぜっこ倶楽部の新妻さんは、津波によって外洋とつながり、干拓前の明治時代の姿に戻ってしまった松川浦の破壊的な状況を報告しました。しかし災害後始めた調査で、ガレキの下で小さなカニが生き残っているのを発見し、希望が見えてきたことに触れ、「福島を見捨てないでください」と訴えました。
 栃木県で有機稲作に取り組み、日本各地でその指導に携わってきた稲葉さんは、原発事故後すぐに原発20km圏内を含む会員有機農家を訪問、現状調査を実施しました。有機と認められるまでの長い間の努力が一瞬のうちに吹き飛び、農業を続けられない会員も出てきています。日本の優れた伝統的知識と最新の技術をもって何としてでも健康な土壌を取り戻したいと、植物の力を借りた「ひまわり・ナタネ・大豆」プロジェクトを提唱、実践しています。



 ラムネットJが重要湿地としてラムサール条約登録を推している山口県上関にも原発建設計画があります。会場からは原発事故に関する質問が相次ぎ、原発の停止と建設計画の中止を求めて動くよう、強い要望がありました。
 最後に、湿地を賢明に利用した持続可能なコミュニティづくりと、そのネットワークという湿地保全の原点を押さえ、これまでの活動をより強化、推進しようということで締めくくられました。
 詳しくはラムネットJ HPのニュースレター6号をご覧ください。なお、この様子は映像でもご覧いただけます。

付記:湿地のグリーンウエィブでは、NPO「田んぼ」の呼びかけで南三陸町への支援物資を地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)で収集し、ボランティアが現地まで届けました。また、GEOCの展示スペースでは、被災地支援のためのキャンペーンとして、福島、宮城、栃木の農産物販売を実施し、多数の人々が支援協力しました。この支援販売はファーマーズマーケットとエコ食品健究会の協力を得て、その後も継続的に実施されています。



(報告:安藤よしの)